マカロニアンモナイト
webマガジン「マカロニアンモナイト」月刊特集
『本気のリバーサル特集』-前編-


文・写真/中山慶太

前編目次 1 2 3 4 5 2000年2月掲載


§最初はフィルム選びから§

 リバーサルといっても、カメラにフィルムをセットするお作法は一緒。だがその前にフィルムを買わないといけない。そこでフィルムの品揃えが日本一、いや世界一という新宿の量販店に出かけてみれば、生鮮食品売り場さながらの冷蔵棚に並んだリバーサルフィルムの山に出くわすことになる。おまけに種類がものすごく多い。フィルムを手に取って眺めれば、箱に『プロフェッショナル』の文字が踊っているものもあって、初心者はますます腰が引けてしまうかもしれない。

 ところが、臆する必要はぜんぜんないんである。売り場をじっくり観察してみると、リバーサルフィルムは『プロ用』『アマチュア用』それぞれに感度が数種類用意されていることがわかる。なあんだ、感度で選べばいいのなら普通のネガとおんなじじゃあないか。せっかくだからプロ用の高感度タイプを買おう、とレジで見栄を張ろうとするそこのあなた、早まってはいけない。リバーサル選びには大切なポイントがあるのだ。

 リバーサルフィルムの箱に記された感度を調べてみると、ISO50の低感度からISO100の中庸感度タイプが主流であることがわかる。つまりリバーサルならでは の鮮やかな発色とシャープなコントラスト感を満喫するなら、このあたりの感度がいちばん美味しいのである。

 さて、リバーサル選びで感度以外に大切なポイントは何か。それはトーンの再現性である、というとムツカシク聞こえるかもしれないが、要は製品ごとにそれぞれ発色やコントラストの調子が異なるということ。え? ネガだって同じだろうって? 確かにその通りだけど、リバーサルの個性の違いはネガフィルムの比ではない。というより、プリントなどの後処理の影響を受けないぶん、素材の違いがダイレクトに観察できるといった方が正しいか。

 そこでリバーサル選びには、「撮影目的に合わせたフィルムの選択」という楽しい要素が加わることになる。まあデジカメならパソコンでいかようにも料理できるところだが(フィルム素材やプリントをスキャナーで取り込んだ場合も同じだ)、素材本来の味を楽しむのも写真趣味の大きな要素だと言ってしまおう。

 で、本題のフィルム選びだけど、主だった製品をいくつか買い込んで、できるだけ同じ条件で撮影して比較してみるのがいちばん。参考までに記すと、富士フイルムのプロ用リバーサルではベルビア(RVP)は発色の鮮やかさに、プロビア(RDP2)はニュートラルな発色に、アスティア(PAP)は柔らかいトーンにそれぞれ特徴がある。

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作例3:
Conte Serego Alighieri/9912-1

リバーサルの特徴は鮮やかな発色と引き締まったコントラストにある。特にこのベルビア(RVP)は派手めの発色と暗部の強靭な締まり、すぐれた粒状性でファンが多い。北イタリア、ヴェローナの丘の瀟洒なヴィラにて。人物は詩人ダンテの末裔、アリギエーリ伯爵。こういう斜光下では顔のシャドー側とハイライト側の露出バランスが難しい。影の部分を起こすとバックが飛び気味になってしまう。被写体が女性なら弱いレフを入れるところだけど、そのまま撮る。これって性差別だろうか。

135format 35mmF1.4 1/125sec. F2.8 FUJICHROME VELVIA (RVP)



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作例4:
Conte Serego Alighieri/9912-2

前掲の作例3とまったく同じ状況で、フィルムだけを変えて撮影。昨年発売されたMS100/1000はその名称が示す通り、E.I.(露光指数=ISOに相当)100から1000までの間で撮影感度が自由に設定できる新世代のリバーサルだ。通常のフィルムでも現像時の増減感はできるけど、このフィルムはカラーバランスが極端に変化しないため実用性が高い。標準感度のISO100で使うと、アスティア系の柔らかいトーンが得られる。作例はE.I.400で撮影、作例3とは対照的な渋めの発色と落 ち着いたコントラストに仕上がった。ちょっとネガプリント的な雰囲気が魅力的。

135format 35mmF1.4 1/500sec. F2.8 FUJICHROME MS100/1000 (RMS) E.I.400

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