マカロニアンモナイト
webマガジン「マカロニアンモナイト」月刊特集
『本気のリバーサル特集』-後編-


文・写真/中山慶太

後編目次 6 7 8 9 10 11 2000年3月掲載


§リバーサル鑑賞は楽しいゾ§

 とつぜんだが、読者諸兄は『リースポジ』という言葉にお聞き覚えはおありだろうか? これは商業印刷に使用するレンタル写真のことで、東京には多種多様なジャンルの写真を用意するライブラリーが無数にある。旅行用パンフレットを飾る観光地の風景や、特定の意味を持たないカタログ用イメージカットは、たいていこのリースポジだと思って間違いない。不特定多数の用途を意識したものだからジャンルはやたらと幅広く、世界各地の風景はもちろん人物や花や動物、はては昆虫のマクロ写真や衛星から撮影した写真まである。この種の業者を訪ねると膨大なストック(プロの写真家が預けている場合が多い)を閲覧することができるのだけど、そのほとんどはリバーサルフィルムである。

 で、閲覧作業はライトテーブルとルーペを使う。お目当ての写真を速やかにゲットできればラッキー、なかなか見つからない場合は膨大なストックをえんえんと見続けなければならない。著名な作家の作品を収蔵したライブラリーで眼福のひとときを過ごせればしめたもの、しかしこの作業を数時間も続けていると強い光源に目が痛くなってくる。グラフィックデザイナーや編集者に弱視が多いのはこのせいではないか、というような話は、例によって本題とまったく関係がない。『本気のリバーサル特集』後編は、リバーサルの鑑賞術あれこれをご紹介しよう。

 前編ではリバーサルとネガフィルムの違いをあれこれ述べたけど、単純にいちばん違うところはそれぞれの鑑賞法である。プリントで見るネガは特別な道具がいらないのに対し、リバーサルは専用のライトボックスやビュワー、そしてルーペが必要だ。これを言い換えれば前者は反射光で、後者は透過光で見るということである。それぞれの写真を見た時の印象の違いは、実はこの光の違いによるところが大きい。リバーサル独特の鮮やかな発色とすぐれた立体感は、実は光のパワーによるものなのだ。最近ちまたではプリント独特の質感が再評価されているが、リバーサルの魅力はその対局、透過光からあふれ出すリアリティにある。

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リバーサル観賞用の基本グッズ、その1はライトボックス。プロが使うものは印刷工程のチェックを前提に正確な色調を得るため、光源の色温度が厳密に管理されている。この種のものはそれなりに高価で場所を取るので、アマチュアは廉価なものでも差し支えない、といっても程度問題だが。できれば35mmフィルムで36コマのスライドマウントが一度に載る大型のものと、写真のようにコンパクトな可搬型(AC電源と乾電池の両方に対応したもの)を併用したい。



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基本グッズ、その2はルーペ。35mmフィルムなら4倍程度の倍率が見やすいと思う。安価なものから高価なものまでいろいろあるが、これも最初は安いもので充分。ただしマルチコートのレンズを何枚も使った高級品には歴然とした“見え”の違いがあって、凝り始めると泥沼にハマる可能性がある。ところでルーペは指紋などで汚れやすい。手入れはまめにしましょう。

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