webマガジン「マカロニアンモナイト」月刊特集
『ammonite pinhole photographs』
アンモ針穴写真館2
(後編)

文/写真:中山慶太柴山みゆき
1 2 3 4 5 6 7 8 9 2001年3月掲載


§フイルムの特性を理解しよう§

 今回の撮影を通じて、ひとつ発見したことがある。それはリバーサルの特徴であるコントラスト感が、ピンホールだといくぶん弱められるということだ。

 リバーサルフイルムが強めのコントラストを持つことはよく知られている。これはわかりやすく書くと、陰影が見た目以上にくっきり表現されるということだ。実はこの性質こそリバーサルが印刷原稿に向いているひとつの理由なのだけれど、プリントでの鑑賞を前提にするアマチュア用途としては、コントラストがいくぶん強目に感じられることもある。写真歴の長いひとは、発色よりもこのコントラスト感を重視してリバーサルとネガを使い分ける場合が多い。

 ところが、ピンホール撮影の場合はこのリバーサル特有のコントラスト感がかなり弱められた印象になる。実際にはフイルムの特性が変化しているわけではないから、これは輪郭のエッジが立っていない(シャープネスが決定的に足りない)ためにそう感じられるだけなのだ。だからピンホール写真に通常の35mmフイルム(135フォーマット)を使うと、ただモヤモヤの甘い写真になってしまうことが多い。ところが4×5の大判フイルムを使うと、微妙な輪郭のにじみがグラデーション感につながり、見かけ上の階調感がでてくる。

 ピンホール写真の魅力は、もわっとした甘い描写のなかに独特の滑らかな質感があることだ。人間の肌など、磨いた大理石のように写る。大判フイルムとリバーサルの組み合わせではこの特性がさらに強調され、実に絶妙の雰囲気になるのだった。


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<おまけ2>
作例3、4の状況を35mm一眼レフで撮った比較例。アスティアらしい暖色系の色調で、服のシャドー部分もニュートラルなグレー階調になっている。それにしても4×5判の縦横比率を見慣れると、「35mmってこんなに横長だったっけ?」と思ってしまう。もうすこし長辺が短い方が構図をまとめやすい。サンゴーはけっこう難しいフォーマットだ。
35mm一眼レフ、焦点距離40mm、絞りF4、露光時間1/250秒、Fujichrome Astia (RAP) 135。

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<作例3>
温室にて(3)。全体に色調が青みがかっていることを除けば、見た目にけっこう忠実な仕上がり。ということはピンホールらしさのない失敗例? 画面をよく観察すると右上の木立が不思議な描写になっている。風で枝葉が揺れたためだろうか。
自作4×5ボディ+ピンホール、焦点距離75mm(35mm判換算=20mm)、絞りF250、露光時間6秒、 Fujichrome Astia (RAP)4×5。


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<作例4>
温室にて(4)。作例3とおなじ条件(こちらは少し露出時間が短め)で、インスタントフイルムで撮影。やはり青みが強調されます。肌色の濃度と地面や木立の濃度を作例3と比較すると、リバーサルよりもインスタントフイルムの方がコントラストが強いことがわかる。すこし多めの露出をかけないとシャドーが潰れるので注意が必要。
自作4×5ボディ+ピンホール、焦点距離75mm(35mm判換算=20mm)、絞りF250、露光時間4秒、フジ・インスタントフイルムFP-100C45 4×5。
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マカロニ・アンモナイト編集部