酒飲みのロクロ体験記−前編−

 文・写真/因幡也寸人(いなば・やすひと)



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§友人の心変わり・・§

 ある日、長年の友人がこんなメールを送ってきた。
「週末は野暮用があって……。なんか気恥ずかしくて言えなかったんですが、実は陶芸教室に通ってるんです、先週はロクロを回して、次は絵付けです。いずれはお窯まで買おうかと思ってるくらいマジなんです。笑わないでね」
 いつものように不健康な遊びの誘いを掛けた私に返ってきた返信だった。何故、「笑わないでね」なのかは何となく分かる気がする。某出版社勤務の彼は、職業柄夜更かし当たり前、おまけに酒場大好きときてる。夜更けの誘いにも、文句を言いつつ驚くほどの速さで酒席に着くのである。
 そんな友人が甘い誘惑を蹴ってまでマジになるモノって何だろう。
「一度その陶芸とやらの魅力を聞いて上げようじゃない、酒でも飲みながら……」と、彼をしつこく誘う。
 で、かれこれ4時間になる。 「いま飲んでるこの酒だって、自分で作った徳利とぐい飲みで飲んでみろ。ふた味アップする」ということだった、と単なる酒飲みは解釈した。記憶もおぼつかない帰り道、自分で作った徳利とぐい飲みで酒を飲むのも悪くないなぁ、なんて事を思っていた。
 翌日、早速調べてみた。友人と同じ事はしたくない。都内に陶芸教室は多数あるけれど、どうせなら陶芸の産地に行ってみよう! そんな思いがムクムクと沸き起こってきたからだ。
 インターネット検索してみる、関東近郊なら笠間(茨城)、益子(栃木)がメジャーどころか。  ヨシ笠間に行こう! 笠間に行って“マイ晩酌セット”を作るのだ。
 ホントに我ながら単純だ。

 


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友人がマジになった陶芸の世界とは・・・。
他人が面白いというものは決して無視できない私にはムクムクと興味の虫が沸き出した。
写真は、『笠間工芸の丘』のアートスペース。



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