取材・写真・文/中山慶太(序説)+
        柴山みゆき(アンモビール醸造日誌)
タイトル写真/林敏一郎(フォレスト)
取材協力/ホッピービバレッジ株式会社


§自ビールへの長い道(後編)§

序説(承前)
 ビール造りの秘訣。それは愛です、と取材者に声をかけたのは石渡さん。うら若き女性だが、実は『赤坂自ビール』の跡取り娘、というか、社長令嬢なのであった(この書き出しだけで取材者の歳が知れるなあ)。
 別室にて加藤木さんを交えて話を聞く。ビール酵母にはいろいろ種類があるそうですが。
「もちろん、お米の品種ほどあります。それでも大きく分けると上面酵母と下面酵母の2種類ですね。これは発酵が進んだ時に酵母が浮かぶか沈むかの違いです」
 わかりやすいですね。
「だから、大きく分けたのよ。最近は比較的低温で発酵する下面酵母が主流で、国産の量産ビールは(一部の例外を除いて)すべてこのタイプですね。で、まあ、味も似たり寄ったり」
 前編でもふれたが、海外のビールにはもっと、ずっとプリミティブでワイルドなものが多い。というか、味わいの違いが大きい。だから日本の地ビールブームは、量産ビールが消費者に飽きられてきていることの証明だ。といったら言い過ぎか。
「上面や下面、という発酵の差で味が決まるわけではありません。他にも、麦芽の焙燥の違いや熟成時間の差など、味わいを決める要素は無数にありますから」
 そういえば、大手の酒販店では輸入ビールが充実している。イギリスのペールビールとかアイルランドのスタウト、ドイツのミュンヒエナー、ベルギーのランビックとか、もう百花繚乱だ。これに地ビールが加われば、量産ビールは駆逐される?
「いや、地ビールの存在意義は“少数派”であるということですね。だから思いきった味の設計ができる。それと、流通をともなうことによって難しくなる品質管理の問題も、少数生産ならコントロールできますから」加藤木さんの答えは明快だ。
 さて、感心のあまり今回のお題目、地ビールならぬ自ビール造りを忘れるところだった。自宅でできるビール造りの秘訣は?
「上面発酵タイプなら、発酵中の温度管理などはあまりシビアにならなくても大丈夫。それよりも、特に仕込みの時に雑菌の混入を防ぐこと。容器はすべて熱湯で充分に煮沸する。雑菌が繁殖しそうな場所での仕込み作業は避ける。あとはひたすら愛情を注ぐこと」
 雑菌が混入すると、正常な発酵ができなくなったり、ビールが濁ったり、味がおかしくなったりする。何よりも、失敗した時に原因があいまいになってしまうのが良くない、という。なるほど、失敗は成功の酵母なのだ。
 帰り際にいただいた赤坂地ビール、商品名『深大寺ビール』は美味であった。ちょっと個性的でコクのあるビールをお好みの向きにはお勧めである。といっても、流通量は限られていて、東京都内の代表的な百貨店では入手可能だそうである。詳細は下記まで問い合わせられたい。

●ホッピービバレッジ株式会社 03-3583-8255

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ホッピービバレッジの石渡さん  

 

  

 

 


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少数派だが、生産管理の目は厳しい  

  

 

 

 

 



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