『パノラマ散歩写真』
       −前

 文・写真/中山慶太


§突然パノラマに目覚める§

 とつぜん個人的な話だが、パノラマ写真というものがこれだけ世の中に普及していながらつい最近まで撮ったことがなかったのは、生来の貧乏性のなせる業(わざ)である。なにしろカメラにフィルムを装填する際、最初の1コマを出すまでのリーダー部が感光して無駄になってしまうのが妙に悔しかったりする。そこであるとき暗室にこもってフィルムを入れてみたものの、その当時の愛機は1コマ目が出るまで露出計が動かない安心設計と判明して感心するやら悔しいやら、という経験があるといえば読者のほとんどは共感を覚えるであろう。覚えないか。

 そういう性格であるから、フィルムの余黒(よくろ……余白の反意語:未露光の暗黒部のこと)が増えるパノラマ写真は撮ったことがない。というより、パノラマ機能がついたカメラを使ったことがない。そのくせ旅先で他人にパノラマで撮ってもらった写真はけっこう気に入っているのだから、これは単なる天の邪鬼というべきか。

 ところが、そういう人間が涙を流して喜びそうなカメラが出たんである。カメラ好きの方は先刻ご存知の『TX-1』だ。詳しいスペックは製品情報をご覧いただくとして、35mmフィルムの天地を目一杯使うフルサイズパノラマ機能を搭載した距離計連動機である。この世紀末に国産で二重像合致式レンジファインダー機の新製品が出るなど、マカロニアンモナイトに携わっていても誰も教えてくれないのであった(あたりまえだ)。
 
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これがTX-1。ボディもレンズ鏡胴も金属のカタマリだ。

作例1

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横浜中華街のお寺にて、今回の散歩に同行してくれた酒豪の編集部員(右)+酒豪のライター(左)。中央はお獅子(笑)。ところでTX-1の交換レンズは標準が45mm、望遠が90mmの2本だが、フルパノラマで撮影する場合、35mm版相当での画角はそれぞれ25mmと50mmになる。2本の交換レンズでよっつの画角が使えるということで、思わず写真散歩や旅行に出かけたくなるカメラだ。

TX-1+EBC-FUJINON 45mmF4 パノラマモード 絞りF8 絞り優先オート(-1EV補 正) RDP2

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