■月刊特集
『アンモ近接撮影作戦』−前編

文・写真/中山慶太

1999年8月掲載

§突然ですが接写です§

 ある日、愛用の一眼レフカメラを眺めていて妙なことに気づいた。写真用のレンズって被写体が近いほど前にせり出していくものなのだ。レンズが長く伸びると遠くのものにピントが合いそうな気がするのだけど、実際は逆なんである。ならばそのままレンズを繰り出していけば、どこまでも被写体に近づいていけるんじゃなかろうか。

 もちろんモノゴトには摂理と限界があるので、ちょっと前までのレンズは50mm標準レンズなら50cmというように、焦点距離のおよそ十倍程度までしか被写体に接近することができなかった。これがズームレンズになると、長い方(望遠側)の焦点距離が基準になるから、近接にはからきし弱い。この最短撮影距離の問題、最近はもう少し寄れるレンズが増えてきたけど、それでも毛穴が写るほど被写体に近づくことは無理である。

 さるエンジニアに聞いたところ、普通のレンズでも近接性能を高めることは充分に可能なのだそうだ。「ただし」と、彼は言う。「無限遠が出なくてもいいならね。それにレンズをあまり長く繰り出そうとすると、鏡胴(レンズを嵌めてある筒)に収まらなくなる」

 近くのものにピントを合わせる性能を優先すれば、遠くが犠牲になる。四十男にはヒトゴトと思えないような話だが、それなら話は簡単である。つまり、遠くを犠牲にすればいいのだ! ということで、
今回は真夏の接写特集

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作例1:
テーブルに置かれたシャンパンの椅子。撮影距離は25cmほど。

注)最近のAFレンズではピントリングを回しても全長が変わらない『インナー(インターナル)フォーカス』という方式が増えている。これは前群レンズを固定して後群を移動するようにしたもので、重い前玉をモーターで動かすことによるレスポンスの遅れや消費電力の増大を避けるために考案された。
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マカロニ・アンモナイト編集部