■月刊特集
『アンモ近接撮影作戦』−後編

文・写真/中山慶太

1999年9月掲載

§接写は眼鏡だ§

 さてお立ち会い。こちらに取りい出したりまするは舶来の虫眼鏡、そんじょそこらで手に入る品かってえと、あなた、馬鹿を言っちゃあいけません。欧羅巴は独逸の国の一流職人がこつこつ手仕事で作った高級品だ。しかもレンズの横には豆電球と電池入り、暗いところでもよく見える。ほらほら手指にかざせばぐるぐるの指紋だってこのとおり。おっとそこの坊ちゃんお嬢ちゃん、言っとくけどこいつで虫を殺したり太陽を見たりしちゃあいけないよ。レンズには光を一点に集める『焦点』ってものがある。何、座布団を一枚よこせって。チャンチャラスチャラカスッチャンチャン、パフ〜、お客さん、そいつは『笑点』だ。おっと失礼、なにしろこんな道具が安く買えるんだから、まったく今日びの日本は豊かになったもんだ。

 と、いきなりの大道芸はこのへんにして、さあここからが本題だ。人間の眼球が精密かつ高性能なレンズになっているのはご承知のとおり。瞳孔は完全円形絞りになってるし、図形をゆがませる歪曲収差は皆無だし、焦点移動のスピードと合焦の正確さは最新のAFカメラだってかなわない。

 ところが弱点もあって、目の前の、すぐ近くのモノにはピントが合わないのだ。写真用レンズとまったく同じである。これは眼球のなかの水晶体(厚さと曲率が変化して焦点を合わせる凸レンズの役割をする)の形状可変範囲に限界があるためなのだけど、ここで眼球の前にもう一枚凸レンズを入れると、ちゃんと近くにピントが合って、モノが拡大されて見えるじゃあないか。

 眼球やカメラレンズなどの自己完結したシステムに、あとからレンズを加えてまともな絵になるのか、という疑問もある。だが、人間が眼鏡を使うように、写真レンズも眼鏡をかければ近くのモノにピントが合うはずだ。例によって無茶な理屈だが、これが後編のお題目。題して
『虫眼鏡で接写』、Here we go again!


今回使った機材一式、Fine Pix2700と外付けレンズ。
小さい、軽い、の良いことづくめ。





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作例1:
今回のロケ地、東京・文京区の『小石川植物園』で今年の干支を発見。
Fine Pix2700内蔵の『マクロモード』でここまで寄れる。




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作例2:
『マクロモード』+外付けレンズだと、さらに接近できる。
ピントはAFまかせでラクチンだ。

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マカロニ・アンモナイト編集部