『アートTシャツで秋はオシャレなのだ』
       −
前編

 文・写真/河野朝子


●お犬様登場

 と言ったワケでやって来ました都内某所。これを知らなきゃオシャレさんのモグリってくらい「知る人ぞ知る」なLumpy Gravy II(ランピー・グレイヴィ・ツー)の工房だ。職人のホンボーさん(本坊哲治さん)が半パン姿でお出迎え。ホンボーさんはこのブランドのオーナー兼デザイナーでもある。
「はははーん。どうしよっかー、じゃぁ、とりあえずオモテ行くぅ?」え?なんで手描きTシャツの作り方を説明するのに外に出るの?「ほらほら、ジョビン!外行くぞ!」振り向けばキャンキャンとその姿も可愛いパピヨン犬がしっぽを振っている。お犬様はお散歩用のヒモにつながれ、ホンボーさんの手には無地のTシャツとか新聞紙とか塗料とか。街角でストリートの雰囲気に浸りながら制作するのだろうか、と思ってついて行くと、工房の前のアスファルトの道にいきなり新聞紙が敷かれ、その上に中に新聞紙を挟んだTシャツも広げられた。あのぉぉ。
「さぁ、ジョビン、おいで」その名もブラジリアンでアントニオ・カルロスなお犬様は従順にもホンボーさんの腕の中にぴょこんと収まる(ボサノバの元祖にアントニオ・カルロス・ジョビンというミュージシャンがいたんです)。「ちょっとおとなしくしてろよー」とジョビンに言って聞かせながらやおら筆と絵の具をとり出したホンボーさんはジョビンの足の裏の肉球部分にペタペタと絵の具を塗り始めたのであった。「ワー!オレに付けるな!」ワンちゃんがちょっとモゾモゾすると塗料が人体や服に付いてしまう。
 で、どうしたか、と言うと「行け!ジョビン!」とお犬様は無地のTシャツの上に立たされてその上をウロウロ。おぉっ!いきなりゲージュツである。「ジョビン、もう一回!今度は色を変えるぞ」"生類哀れみの令"のない平成のワンちゃんは再度違う色を足の裏に塗られた。でもここんちの犬、おとなしい。そして言われたままにTシャツの上を歩いてくれる。それやこれやを繰り返しているうちに見たまへ!かなりのゲージュツTができあがってしまったのである。ひえー!
 犬への日々怠りない愛情とそれなりの調教こそがカッコいいアートTシャツへの第一歩だったのだ。

 

※注意

○塗料はアクリル系の絵の具をあらかじめ水やメディウム類で少し溶いておくこと(Lumpy Gravy IIでは業務用の絵の具を水以外の物も使って溶いていたようですが、企業秘密とかで詳しくは教えてもらえませんでした、が、ホンボーさんによると「アクリルでもオッケー」とのことです)。
○人間の乳幼児を含む生き物で前衛芸術をやるときには汚れてもいい服装で望むこと。
○きっとあとが大変なので家の中でやるのはやめましょう。

<--Back   Next--> 

 

 

拡大表示--> 

「うへー、くすぐってぇ!」

 

 

拡大表示--> 

「ゲージュツの生まれた瞬間」

 

 

拡大表示--> 

「狙い澄ましたオシャレ具合」

 

 



Webmaster :
ammo@tokyo.fujifilm.co.jp
Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部