『アートTシャツで秋はオシャレなのだ』
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後編

 文・写真/河野朝子


▲前回までのあらすじ
お洒落なアートTシャツのブランドLumpy Gravy IIの工房に上がり込んだ河野はそのへんにうごめく物体で次々とできあがる芸術Tシャツの出来映えに驚愕しまくるのであった。


●マイナスの発想
 「あーんじゃ次はね、これ」ホンボーさんは黒や紺のTシャツを出してきた。で?と思っていると10個くらいのスプレーボトルが厳かに登場。なにそれ?「へへー、企業秘密だよーん」と言って私に仰々しいマスクを渡した。×××が漏れるとか、×××を撒くとかそういうのなのかぁ?危ないぞー!逃げろー!
 ひぇーと逃げ腰になってるこちらを後目に、マスクを付けたホンボーさんは新聞紙の上に葉っぱを広げてスプレー容器に入っている透明液体をプシュプシュとかけ始める。で、新聞紙を中に挟んだTシャツの上に裏返して乗せたのであった。
 さらにその上に新聞紙を載せて「麦踏みだね」と足で小刻みに全体を踏んでゆく。えーー!どーなるの?と思っていると新聞紙がはずされ、葉っぱも丁寧にはがされた。なんだとー!そこには葉脈も鮮やかに葉っぱの形に美しい絵が浮かび上がっていたのであった。思わずマスクをはずしてしまう私。
 うっそぉ!きれいじゃん!ただの虫食いの葉っぱがラブリーなシルエットに変身しているじゃあないか。それ欲しい!読者プレゼントをバックレてアタシがもらっちゃおっかな。
 手にとってよぉく見つめてみる。あのさぁ、これって、もしかするといわゆるひとつの脱色じゃないの?「ナイショだよ、これね、バッセン染料」バッセン?「抜いて染める、抜染」それをいろいろな濃度でスプレーボトルにあらかじめ作成しておいてプシュプシュやっているようである。
 口の軽い私に言ってしまっては企業秘密もへったくれもないような気もするんだけど、これって要するに脱色でしょ?キッ○ンハ○ターとか、そういうものでもできそうじゃん。「そういえばキミ、髪の毛、いい色してるね」これ?これはねぇ、いっぺんスーパーなんかで売ってるやつで最強のヘアダイ使って金髪になるまで脱色して、それから赤紫に染めてるんざます。「その脱色剤でもいいかもね、ヘヘヘ」その薄い笑いが気になるっちゃ気になるけれど、うーむ、大昔GパンやTシャツの脱色に挑戦した中学生だったことのある私の感ではあのスプレーの中身は「茶渋がすんなり落ちる程度よりチョイ薄めあたりのヴァリエーション」てカンジだな。そういえば、ヘアダイしてるとき誤って液体飛ばしちゃったり、トイレ掃除の最中○メ○トこぼして色が抜けちゃったTシャツもこの技なら再生できるかもしれん。イヤ、そういう薬品がちょっと余ったらなんかしてみてもいいんじゃない?ってノリだ。
 ちょっとした熟練とアイディアは必要かもしんないけれど、パジャマになってたり下着代わりになってたりするTシャツでテストしたくなるなぁ。この葉っぱTシャツ、ものすごいステキ。うっとり。「おばあさんにも着て欲しいね」とホンボーさん。10代の少年が着ても80代のお姉さんが着ても、日本の秋は美しいのであった。

※注意
○まぜるな危険!
○スプレーするときにマスクをしないとどうなっても知りません。
○台所用(またはトイレ用)ブリーチ剤やヘアダイ溶液に手を直接触れると肌がボロボロになります。ゴム手袋などで防御しないとあとで大変なことになります。
○葉っぱを使う場合は「葉脈」側にスプレーしましょう(Tシャツに触れる側が葉脈になるように)。その方がきれいです、きっと。

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「なんか危なげ」


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「ビショビショになる一歩手前が頃合」


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「適当」


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「麦踏み状態」



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「乾くにつれてどんどん色が抜けてくるのでこのくらいでやめておくこと」



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