「週休六日のススメ」
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 イラスト・写真・文/福山庸治

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ジタルピアノは、誰に聴かせるためでもなく、自分で楽しむだけのために買ったのであるが、人に聴かせてもいいくらいのレベルで、三曲くらい弾けたらいいなとは思っている。

 バカの一つ覚えにような得意曲を一曲弾けば、「おっ、やるじゃん」という反応が返ってくるはずだ。いや、お世辞だとしてもである。たいていは、そこで「もう一曲」と、アンコールが掛かることが多い。そこで応えないと、やっぱりバカの一つ覚えであったかとなって、ピアノが弾けるという評価にはならない。

「いやあ、アンコールって言われてもなあ、僕はさっきのしか弾けないから……」
 とか何とか言いながら、ポロロンと「スターダスト」なんかを弾き始めたりすれば、「やるじゃん」から「本格的じゃん」という評価に変わる。たとえ、途中ミストーンを連発してもだ。

 で、なんとか最後まで演奏することが出来れば、そこそこの拍手をもらえるだろう。そこではアンコールを待ってはいけない。「ねえねえ、アレ弾ける?」と、リクエストが飛んでくるからだ。それは避けねばならない。なので、三曲目は間髪を入れず、実は一番得意なアップテンポのBluesなどを、いきなり弾き始めることだ。曲はアドリブでよい。だめ押しの三曲目である。もちろん、この後の四曲目は絶対に弾かない。弾いてはならない。というより何より、三曲しか弾けないのだから、弾きたくても弾きようがない。聴くほうにしても、三曲くらいが「福山さんがピアノを弾いている!」という意外性を感じていられる限界で、それ以上になると驚きも失せ、飽きてくるし、演奏のアラが見えてくる。

 そうしてすったもんだしながらも、三曲なんとか弾きこなせば、評価は「何でも弾けるじゃん」となって、ピアニスト福山はいろんな曲を無限に弾ける人という印象を強く与えることになる。そう、だから、たった三曲弾ければ良いのである。それが何の役に立つかは知らない。が、そこはほれ、人間、見栄というものがあるじゃないか。だから、なんとか三曲はマトモに弾けるようになりたいと思っているのだが。


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