バーチャルワインバー
「天孔雀亭(amano‐kujaku‐tei)」
   『王のワインに仕える女性の話 #1』 

 文・写真/中山慶太

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イタリアの銘醸地のなかでも、ピエモンテ州ランゲ丘陵は料理の素晴らしさで群を抜く存在だ。こういう土地を訪れたらワイン探しはほどほどに、料理をとことん探求した方が健全だと思う。写真は『ブラザート・アル・バローロ(牛肉のバローロワイン煮込み)』。ヴェルドゥーノ村の著名なホテル、『アルベルゴ・レアル・カステッロ』の定番料理である。


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『今週のワイン』
久しぶりの再開なので、このコーナーに相応しく天の邪鬼なワインを選んでみた。『イ・パリエーリ I Paglieri』はバルバレスコ村に本拠を構える造り手で、オーナーのロアーニャRoagna家はバローロ、バルバレスコという二大銘柄で評価を得るかたわら、一風変わったワインも手がける。おなじネッビオーロから造る『オペラ・プリマOpera Prima』がそれで、どこが変わっているのかといえば無年号なのだ(複数年のバレルストックをブレンドする)。酒名はかの有名な『オーパス・ワン』と同じ意味だが、ラベルを飾る抽象画はオーナーの娘がはじめて描いた落書き(作品第一番=オペラ・プリマ)というのも洒落が効いている。写真はイ・パリエーリ(アルフレード・ロアーニャ)の代表作3本、左からバルバレスコ・リセルヴァ1989、バローロ“ラ・ロッカ・エ・ラ・ピラ”リセルヴァ1990、オペラ・プリマX(X=ディエチ、10番目の生産の意)マグナム。

の村にはすくなくとも三軒はBの頭文字を持つ造り手がいますね、と僕がいうと彼女はまっすぐこちらに視線を返し
「あら、それじゃあ私が四人目ね」
 といって悪戯っぽく笑った。

 どうしてそんな季節に旅に出る気になったのか思い出せないけれど、僕は十数年ぶりで初冬のイタリアに出かけることにした。仕事を片付け旅支度を済ませ、いつものように体重計にスーツケースを載っけて重さを量ってから、飛行機に乗り込むまで五時間半。ミラノの空港でそれを受け取るまでに十七時間。クルマを借り出してアウトストラーダを西に走り、丘の上の館の天井の高い部屋に運び込んで荷をほどくまで都合十九時間と四十五分。もし途中で三度も道を間違えなければ、あと三十分は早く着いていたはずだった。

 館で旅装を解いてから百数時間後の午後、バローロ村のふたつ目の駐車場にクルマを停め、通りがかった初老の男性に目指す蔵元の所在を訊く。ああ、ボルゴーニョならそこの大きな鉄の扉が入り口だよと彼は指差したもう一方の掌を息で暖めながら、ぼそりとつぶやく。そして数歩あるいて振り返ると、君は日本人かね、きっとそうだろう、と眼で納得した。

 ひんやりとした門をくぐると、そこはアスファルトを敷いた中庭だった。ちょうど左手の建物から出てきた若者に出くわしたので、こちらの名と訪問の目的を告げる。若者はちょっとはにかんだような表情を浮かべて頷き、いま出てきた扉を開けて僕を招き入れると、大声で女性の名を呼んで「おおい、お客さんだよ」と続けた。


               ... To be continued.  

 

 

 

『今週のおすすめリンク』

ここではワイン関係のWebサイトから、筆者お気に入りのものを紹介していきます。内容はつまらなくてもデザインが秀逸とか、選択の理由はばらばらですが。第一回目はイタリア料理とワインの知識の宝庫、『ガンベロロッソ・オンライン』。誰もが認めるイタリアの食文化ガイドの決定版。英語あり。内容は無茶苦茶に濃くて深いので、はまると抜け出せなくなるのが難点。

http://www.gamberorosso.it/e/index.asp

 

 



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