「週休六日のススメ」
       -69-

 イラスト・写真・文/福山庸治

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

 


--->拡大表示

 日、僕の住む市の市役所から、なんと宅配便が届いた。
 今頃成人式の記念品ではないだろうし、うっかり不法投棄したゴミが返還されてきたものでもなさそうである。

 果たして、宅配便の中身は日立製の浄水器であった。
 ワープロで印刷された一枚の書状が同封されている。
「謹啓 中秋の候、皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます」という時候の挨拶に始まり、この手のものに特有の定型的な文面が続くわけだが、その内容を要約すると、お前さんは健康保険税を滞納なく完納した上に、昨年一年間、一度も被保険者証を使わなかったんで、市役所としては大いに助かった、よって記念品として浄水器を贈るから、きれいな水を飲んで、ますます健康になって、被保険者証(つまり税金)を使うことなく、税金だけはしっかり納めてくれ、ということらしい。ちょっとうがった要約ではあるが。

 もともと僕は体が丈夫といおうか、小学校の六年間、一度も欠席したことがなく、中学高校でも、一、二度ずる休みをしたっきり、病欠だけは一度も経験しなかった。すこぶる経済的な体であることは間違いないが、税の面から言えば、すべて払い損である。いわば宴席の下戸が、飲みもしない酒代を徴収されるようなものだ。じゃあ、病気になって税金を使いまくったほうが得かといえば、全然そういうことはないわけで、結局誰が得してるのかというと……いや、そもそも損得で考えるような事柄ではないのだろう。その制度の理想からすれば。しかし、浄水器をもらって、僕は少しだけ“損”を取り返した気分になった。

 

−編集部よりお知らせ−
作者の福山庸治さんは独自のWebサイトを開設しています。アンモだけでは物足りないというあなた、摩訶不思議なヨジラワールドに是非アクセスしてみてください。画像・エッセイも充実。
 http://www.yojira.com/

 


Webmaster :
ammo@tokyo.fujifilm.co.jp
Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部