* 週刊フォトエッセイ *

バーチャルワインバー
「天孔雀亭(amano‐kujaku‐tei)」
   『番外編:砂漠のワインリスト #2』 

 文・写真/中山慶太 --->Back Number

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トリュフの香りがするワインといえば、ボルドーやブルゴーニュの古酒が真っ先に浮かぶ。そういえばブルゴーニュ白の銘酒、ピュリニ=モンラッシェにもそういう名前の畑があって、熟成するとトリュフ香が乗ってくるという。それが事実かはさておき、ここではおなじみのシャトーヌフ・デュ・パープを取り上げておこう。このワインにトリュフ香などというと石が飛んできそうだが、実は二十年以上の熟成を経たパープにはそういう性格があるのだ。そこまで待てない、という方はペゴーDomaine du Pegau のパープ『ダ・カーポ Cuvee Da Capo』をお試しあれ。98年がファーストリリースのスペシャル・キュヴェで、遅積みのため天然アルコール度は実に16%に達する。香りも味わいも筆舌に尽くしがたいらしい(まだ飲んでません)。

 

 

 

 



しい肩のウエイトレスがメニューを置いていく。黒髪と白いブラウス、そして黒のチョッキの後ろ姿を見送って、メニューを開く。こちらに気を利かせてくれたのだろう、料理はすべて英語で書かれており、どうやらフレンチ流儀らしい。
 そして、アラカルトの終わりに「赤と白のテーブルワイン」とだけ記されていた。
 ワインの揃うレストランときいてやってきたのに、どういうことだろう。
 ホテルでもらったメモを確かめると、店名に間違いはないようだ。トリュフ風味のワインなど、この街では夢のまた夢なのだろうか?
 ため息をつきながら、テーブルに載ったプリュッツェル(リング状に焼き上げた乾パンで、イタリアのグリッシーニに似ている)をかじっていると、先ほどの女性が戻ってきた。
「ワインリストはありませんか」こちらの問いに、彼女は表情を変えずにメニューの後ろを示した。
「いや、そうじゃなくて、もっと高いワインが飲みたい」我ながら下品な物言いだけれど、それ以上に適切な言葉が浮かばなかった。
 ホテルの女性とおなじ、珍しい動物を観るような視線を覚悟していたのだが、彼女はただうなずき、きびすを返す。果たして通じたのだろうか。

 待つことしばし、差し出されたのは革の表紙のぶあついリストだった。もう長いこと使い込まれているのだろう、ほとんど黒くなった見返しの折り目に、もとの赤茶色が覗いている。
 みたび女性の後ろ姿を見送り、ページを繰ると、なんたることか。フランスワインの著名な銘柄が、これでもかと並んでいるではないか。
 シャンパーニュ。ブルゴーニュの白、赤。ボルドーの赤。どれもフランスの銘醸酒、それも素晴らしいヴィンテージばかりである。不思議なことに国境を接するドイツやオーストリアのワインは見あたらないが、それは問題ではない。こちらは非ラテンの国々のワイン銘柄をほとんど知らないし、飲む習慣もないからだ。
 またしてもふつふつと喉元にこみ上げるトリュフの香りをおさえつつ、ワイン選びに悩むまえに問題がひとつ。
 どのワインにも、値段が書かれていないのだ

 


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