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猫:「こ、これはCMのケータリング!」



* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

 写真・文/根岸 泉--->Back Number


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Roll 3 メシ(飯)

 映画屋は食事のことをメシと言う。
 映画は総合芸術(※死語)なので全員で作業しいっせいにメシを喰う。
 食事時間は作業の進行状況を見てチーフ助監督が決定する。彼の仕事は「スケジュールを立て、それを守る」ことにあるためメシ時間は撮影優先で決まりスタッフの腹具合は二の次、三の次である(ことも多い)
 食事時間になることを「メシが入る」と言う。チーフ助監督もしくは演出部が「ここでメシ入ります、1時15分再開でお願いします」などと開始時刻込みで言うのが決まりである。

●メシオシ(飯押し)
メシ時間は原則として昼12時、夜17時である。撮影の都合でこの時間を過ぎてもメシにならないことをメシオシと言う、腹ペコな照明助手などはブーブー文句を言う。

●ハヤメシ(早飯)
「スケジュール命」のチーフ助監督は撮影の都合を優先し決まりの食事時間より早めにメシにすることがある。11時ごろ昼飯だって言われても腹減ってないってば。

●ヌキロク(抜き6)
時刻は17時で夕メシの時刻、でもあと1時間くらいで撮影終了しそうだからメシにせず終わらせてしまおうという意味、ココロは夕メシ抜きで6時終了。「タダのメシよりうまいメシ」がモットーの私には願ったりだが、腹ペコな照明助手などはブーブー文句を言う。もっとも撮影がその後どツボにはまりヌキロクのはずがヌキナナになりヌキハチになり単なるメシ抜きになることも多い。

●バレメシ
各自自前でメシを喰うこと。原則として朝と昼のメシは自前である(「ケガと弁当は自前」とも言う)。そして夕メシは支給、ロケーションも通常弁当が配られる。この当然支給されるべきメシを自前で食えと言うのがバレメシ、照明助手でなくともこれは文句を言います。

●ロケ弁(ロケーション弁当)
ロケで支給される弁当。ロケ弁にうまいものなしと言うことわざがある(ない)。
ロケ弁専門業者がいくつもあり、地方ロケなので今日は郷土色豊かな弁当が食えるかと思っていれば、東京からはるばると届いたりする。
ステージから撮影所内のオープンセットに移動しただけなのにロケ扱いで弁当を出してくれるプロダクションもある。
ちなみに「ロケの時は弁当支給」というのは東京の習慣で京都に行くと違う。そのため東京のスタッフが初めて京都に行くと昼メシを喰いそこねる。
「何時」に加えロケの時は「どこで」メシにするかの問題がある。撮影は全てに優先するので(そうか?)道ばたにしゃがんで弁当を使うハメになることも多い。

 『なんだって映画のメシってのはどこもこんなんだろうね(中略)手も洗わねえでさ。土方だって手え洗うっての(「監督たけし、北野組全記録」より)』

●ケータリング
弁当屋が出張してその場で調理したものを喰わせてくれるお金のあるCMから来た習慣。でも予算が同じなら味は同じ。昼にセブンイレブンの冷やし中華を喰ったら晩がケータリングの冷やし中華だったことがあった。セブンイレブンのほうがはるかにうまい。

 CMはまたハリウッドメジャーのマネをしているとも言える。あちらではスターに専用シェフが付き、現場にはいつでも軽食・デザートなどが取れるケータリングが常駐しているのだという。「だという」などと言ったが実は某大作でこれをマネしたことがあるのだが照明助手などの腹ペコなスタッフが何を用意してもたちまち食い尽くしてしまうのでたちまち取りやめになった。

※文中の照明助手とはジョークの一環であって特定の個人を指し示すわけではありません。





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