「旅の風景・中欧紀行」
        --その1--
ハンガリー
機械じかけのロバの群れ

本を発つまえに地図を買っておいたのに、道に迷った。
 それも、空港からブダペスト市内までわずか十数キロの道のりだったのだから情けない。 予定では空港でレンタカーをチェックアウトして、 三十分後にはドナウの西岸、ブダ地区のホテルに到着するはずだった。
 それに三倍もの時間をとられたのは、違う道を選んだことに気づくのが遅れただけではない。 最後にドナウ河をわたるところで、酷い渋滞に巻き込まれたのだ。 ブダペストで渋滞?
 原因は、王宮の丘をつらぬくトンネルで、若者が故障車を押していたせいだった。 車は旧東独製の大衆車である。
 東西ドイツの統合によって生産ラインが止まるまで、 およそ三十余年の生産期間を通じてほとんどなにも変わらなかったこの車、 旧共産圏ではいまもかなりの数が走っている。大半は、満足な手入れもされずに。 いわば使役動物、ロバのような存在なのだ。

... To be continued.

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 Text :
K.Nakayama
 Photo :
K.Nakayama


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マカロニ・アンモナイト編集部