「東京恋愛事情 第一回」
 崩落するBODY、
 BOYの写真。

     --その2--

画紙のなかの少女は、滑らかな肌に異質なテクスチャーをまとっている。それは土か金属粉のような不思議な質感。手を触れれば崩れてしまいそうな少女の肌は、まるで未完成の前衛彫刻のような質感で、見るものの眼に刺さる。でも、少女は周囲の視線を意に介さない。少女の肌を覆うメイクは、真新しいもうひとつの皮膚を形成し、周囲のあさはかな期待や、風化した既成概念を破壊する。
 それは、たとえばこういうことだ。
 今日び、街を往く女性たちは有名ブランドに身を固め、そこかしこで羽根を開く。羽根を開いて、美しい模様を開陳する。でも、ブランドをまとった彼女たちは、ひょっとすると蝶の鱗粉(りんぷん)をまとったアゲハ・モドキかもしれない。それに対して、印画紙の少女は羽根を閉じる。もうひとつの皮膚で、強固なバリアーを築く。風化した記号で飾りたいという願望も、そこにはない。たとえレンズの前で肌をさらしても、少女の閉じた羽根の内側は秘密のままだ。

 けれども、ひょっとするとその模様は、ふくらみかけた期待がしぼんだ今の東京の風景かもしれない。大人たちのあさはかな期待が萎えた街。その未完成の空間を、少女の肌に塗られた土や金属がひたひたと埋めていく。
 少女の羽根が開く時、東京の風景は果たして私たちの眼にどのように突き刺さるのだろう。

<--Back  ... To be continued.

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 Text :
K.Nakayama
 Photo : Fumiharu Okashita
 Hair Makeup : BOY


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