「旅の風景・中欧紀行」
        --その4--
チェコ
プラハの夜、鉛のざわめき

イツ・バヴァリア地方のあるレストランには“tenderyoungcalfknucklest ewedinthemannerofwesternbavaria”なる料理があるという。この店、オーダ ー中に息を切らせて絶命する客が人が年に何人も出る名物レストランである。 というのは嘘で、ドイツ語は名詞をいくらでもつなげられるのだ(ちなみに前 述の料理を和訳すると「西バヴァリア風仔牛ひざテンダー肉シチュー」となる )。
 “ことば”は、旅の印象を決める重要な要素のひとつである。  そりゃあ誰だって、おなじ料理が出てくるなら旨そうな名が付いている方が いいだろうし、ドイツ語でささやくパリジェンヌや、イタリア語で応対するロ ンドンはコノート・ホテルのコンシェルジュ、など想像したくもないだろう。  つまり、ことばはその民族の食や性などの習慣、そして階級意識を映す鏡な のだ。
 それゆえ、万事に謹厳実直なドイツ語圏では、メニューが長大な名詞で埋め つくされていたとしても驚くにあたらない。ゲルマンのひとびとは、こうして 料理を、地名を、およそあらゆるものの由来や形状や出自を正しく解説しなけ れば気が済まないのだ。

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 Text :
K.Nakayama
 Photo :
K.Nakayama


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マカロニ・アンモナイト編集部