●クリヤ・マコト
ミュージシャンたちの肖像
        --その3--

くたちはフォックスというクラブでよく演奏した。70年代の典型的な安酒場で、今にして思えば悪趣味な内装の暗い店だった。客はほとんどいなくて、ぼくらが演奏していると入れ替わり立ち替わり友達がやってきてはセッションしていった。誰に聴かせるということもなくやりたい放題に演奏してギャラを受け取り、帰りぎわに女性バーテンダーが「あんたたちは音が大きすぎるよ」とこぼす。毎回同じ事の繰り返しで、同じセリフしか言わないバーテンダーは、過去を想像したくないような何とも嫌な感じの女だった。


 ・ウェストバージニア州立大学
  ウッドバーンホールと筆者

 ぼくがやってくるまで町一番のピアニストだったヒッピーのビルという奴がいた。 彼はなぜかぼくが演奏活動を始めたとたんに消極的になってしまい、ついに音楽を止めてしまったが、思えばぼくが彼の仕事をことごとく奪ってしまったらしい。ぼくは 彼の不要になったローズを譲り受け、ケヴィンの紹介で靴屋のアルと演奏するようになった。アルはどの町にも一人はいるようなお祭り男で、ジェームズ・ブラウンをや らせたらピカイチだった。彼のギグでは会場中がトランス状態になり、ただひたすら 盛り上がったものだ。そんな風だから、パーティーの仕事が山のように舞い込んでいい金になった。

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 Text :
Makoto Kuriya
 Photo :
Makoto Kuriya


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マカロニ・アンモナイト編集部