●クリヤ・マコト
ミュージシャンたちの肖像
        --その4--


 ・モーガンタウン市街

ばらくして、ぼくは白人の同級生に誘われて「スモークスタック・ライトニング」というバンドに参加することになった。リハーサルがあるから迎えに行くよと言われ、ごく軽い気持ちで引き受けた。そしてフォルクスワーゲンのミニバスがゆっくりとやってきた。招かれてドア越しにのぞくと、中はすっかり改造されほとんど家のようになっていた。そこでくつろぎ、ほとんど住んでいると言っていい家族でもない人々は、全員自然主義者のヒッピーだった。ストーブや調味料、観葉植物まであり、やたらアットホームだ。このようなバスは今でこそあの時代を扱った映画などで見かけるが、当時渡米したばかりのぼくにとっては相当なカルチャーショックだった。ぼくはすぐにこのバンドに夢中になってしまった。音楽にではなく彼らのライフスタイルにである。

 音楽的な事を言えば、スモークスタック・ライトニングはグレートフル・デッドのコピー・バンドだった。このあたりではちょっと有名で、仕事も結構ありツアーまで行っていた。メンバーは6人なのだが、常に17〜8人が一緒に行動している。しかも絶えず増えたり減ったり入れ替わったりしており、ついに全員の名前は覚えれなかった。彼らは菜食主義なので一緒のときは肉を食べることができなかった。ツアーに出て驚かされたのは彼らがどこででも寝ることだった。がらんどうのガレージのような場所でも、彼らはばたばたと冷たいコンクリートの床に横になって平気で眠るのである。18歳の小僧だったぼくにとっては、彼らの奇想天外な生活はとても新鮮だった。このヒッピー・バンドでぼくはキーボードとアルトサックスを担当していた。基礎も何もないはちゃめちゃなサックスが異常なほど受けるので、ぼくは調子に乗って吹きまくっていた。

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 Text :
Makoto Kuriya
 Photo :
Makoto Kuriya


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マカロニ・アンモナイト編集部