●クリヤ・マコト
ミュージシャンたちの肖像
          −2
恐怖のレッドネック

        --その3--

ころでそのころぼくは、ケヴィンからアーチーという白人ピアニストの話を聴かされていた。アーチーはぼくが渡米する以前にケヴィンがよく一緒に演奏していたという70歳にもなろうかというピアニストだ。ブルースやブギウギ、それにニューオー リンズなどのオールド・スタイルを得意とし、それでいてビバップやモダンもこなすという達人だという。


・CHICK COREA/THE LERRECHAUN
           (1975)

 アーチーがつき合っていた連中が
 ホーンで参加。

彼の逸話として最も注目すべきあるレコーディングでの出来事は、 そのあたりの音楽シーンでは有名な話だった。それは数年前、アーチーがまだニューヨ ークにいた頃、チック・コリアの『レプリコン』時代のホーンセクションをやっていた連中と一緒にスタジオに入ったときの話だ。その時彼はそれこそチック・コリアばりの複雑きわまる譜面を受け取り、ピアノ抜きの演奏を1度聴いただけで、2度目には既に完璧な演奏をしていたという。セッションに参加していたメンバーたちは驚きと喜びに満ちて、彼を賞賛しようとピアノに近づいていった。そこで彼らが発見したものは、何ページにもわたってテープでつながれた挙げ句、逆さまに置かれた譜面だった。アーチ ーは譜面がまったく読めなかったのである。

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 Text :
Makoto Kuriya


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