●クリヤ・マコト
ミュージシャンたちの肖像
          −2
恐怖のレッドネック

        --その5--

を元に戻そう。そんなアーチーのうわさ話をさんざん聴かされていたので、ぼくは 一度このじいさんの演奏をこの目で確かめたいものだと常々思っていた。それである日ぼくとケヴィンは、南でのリハーサルの帰りにアーチーの家に寄ることにした。この頃 アーチーはウェストバージニア州の南にあるクラークスバーグという寂れた町に暮らし ていた。彼の家は住宅地でもスラムでもなく、何もない線路際に見捨てられたようにポツンと建ったおんぼろアパートの2Fだった。


・DR.JOHN/
 IN A SENTIMENTAL MOOD(1989)

 南部を代表するR&Bの名ピアニスト/
 ヴォーカリスト。

 呼び鈴を鳴らしても返事がないので勝手にドアを開けて入っていくと、物を片づけるという習慣が全くない人物の、一人暮らしの荒れ果てた部屋の中に老人が一人すわって いた。日の光も届かない薄暗い部屋の中で、アーチーは少々ぼけ始めているらしく、話しかけても会話もままならないほどだった。同じ事を3度も説明してやっと通じるとい う有様で、彼が話す事ももぐもぐと口ごもりよくわからない。それでも生活保護を受けており、時々ソシアル・ワーカーが通って来てくれるということがわかった。

<--Back   ... To be continued.  

---------------------------
 Text :
Makoto Kuriya


Webmaster :
ammo@tokyo.fujifilm.co.jp
Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部