ペルシア湾の出島
バーレーンでアラビア入門(前編)
 -その2-

 文・写真/河野朝子



1997年4月掲載

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

「バーレーンに来たって何にもないよ、と言われていたが、初めて訪れるアラブ、イスラム圏は何もかもが物珍しかった。バンコクのドン・ムアン空港、ガルフ航空のカウンター前でチェックインの行列に並んでいるときから「うっわー、アラブ人がいっぱい!」と興奮してたんだから世話がない。
 日本で一般的に知られているイスラム教で禁止されている事柄の代表は、酒を飲んではいけない、豚肉を食べてはいけない、女性は肌を見せてはいけない、などであろうが、バーレーン国の航空会社、ガルフ航空は機内で酒が飲める。女性のキャビンアテンダント(スチュワーデス)もいる。目だけが出ている全身を覆った服を着てはいたけれど、と言うのはウソで、ほとんどがイギリス人女性だった。ベールを表現したとおぼしきパステルカラーのチュールが付いている小さな小さな帽子を頭に乗せたユニフォームが可愛らしい。
 私がバーレーンに行ったのは5月。ちょうどハッジ(巡礼)休暇と重なって機内はお里帰りの男達で満席だった。もちろん、みんながみんなハッジでメッカに行くわけではない。そういえばメッカ、メッカ、と日頃、口にすることはあっても、それがどこにあるのか知っている日本人も思いの外少ない。メッカはサウジアラビアの西、紅海に程近い街である。預言者マホメットが6世紀に生まれたところだ。


--->拡大表示


 バーレーンに向かうガルフ航空機内を見渡すと、アルコールのサービスはあるものの、手を出している回教徒の男性(女性はほとんどいなかった)は少なかった。機内食は、と言うと、これが今まで利用した航空会社のエコノミークラスの中でベストだった、と付け加えておこう。
 それやこれやで夜中のムハラク空港に降り立ってしまった。これが本当のアラビアンナイトだ。空港の税関とその向こうのロビーの間にあるドアはまさに、開け、ゴマ。巨大な金属の自動ドアが人が近付くたびに重々しく両側に開く。
 夜中なので、まわりがよく見えないまま車で案内された弟の家は、日本でこの規模の家に住むにはよっぽど悪いことでもしない限りまず無理、というくらい大きな家で、おまけに使用人までいる。私が行った5月は、気温はまだ摂氏30度くらいと、過ごしやすかったが、真夏になると50度にもなるという。そりゃ空気の温度か?風呂より熱くてどうする!と言いたくなる。外気が50度ともなると、水道の蛇口をひねると熱湯が出てきて火傷をすると危ないから、と家の中に水のタンクが置いてある。アラブで50度、というと砂漠のイメージだが、バーレーンは小さな島国なので湿度もきっちりあって、スゴイことになるらしい。王族と外国人専用のビーチリゾートがあるにはあるのだが、真夏には暑すぎて、いや、もう、熱すぎて、誰も利用しないのだそうだ。そうかと思うと冬は20度以下になることも珍しくないらしく、どこそこの駐在員は日本からホット・カーペットを持って来た、などという話も聞いた。

---------------------------

<--Back   ... To be continued.


Webmaster :
ammo@tokyo.fujifilm.co.jp
Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部