フィルムの中の印画紙
File-3 NEW CINEMA PARADISE(1989)

失われた映画のパラダイス。
       --Chapter1--

 文・写真/中山慶太

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る日の編集会議で、髭面のT氏がおもむろに口をひらいた。「アメリカ、フランスときて、次はどこの国の映画をとり上げようか。やっぱりイギリス映画?それとも、そろそろ日本映画かなあ」 皆が口々に意見を述べるなか、イタリア映画はどうか、と私が発言すると、その場が一瞬静まり返った。え、イタリアって、まだ映画作ってんの?最近ヒットした映画ある?旧い映画には名作があるみたいだけど。
 「私、知ってます。ダリオ・アルジェントの『サスペリア』とか、血まみれスプラッタ系のホラー作品が多いんですよね」と、紅一点のS嬢はのたまう。
 断っておくが、アンモ編集部の面々は格別に映画音痴ぞろい、というわけではない。むしろ平均よりは本数をこなしている人間が多い方だと思う。ただ、今の日本では一般的に“非ハリウッド映画=マニアック、文芸、カルト路線”というイメージが出来上がっているらしい。そういえば、近所のレンタルビデオ店にも『ヨーロッパ映画』という一角があって、『ベルリン・天使の詩』とか『ベニスに死す』といった作品が、時代もジャンルもごちゃまぜの状態で並んでいる。単館ロードショー作品の墓場みたいなコーナーだ。

 

「何か、子供が自転車に乗ってるってイメージがあるんだよなあ。イタリア映画って」とT氏。それって、デ・シーカの『自転車泥棒』のこと?ずいぶん昔のモノクロ映画だけど。「いやいや、カラーでわりと最近の映画だった。確か田舎の映画館が舞台だったな」
 というわけで、今回は現代イタリア映画の大ヒット作『ニュー・シネマ・パラダイス』を採り上げよう。連載3回目にしてお約束を破って恐縮だが、この作品には“フィルムの中の印画紙”は登場しない。ここで描かれるのは“フィルムの中のフィルム”である。

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... To be continued.


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