クリヤ・マコト ミュージシャンたちの肖像-3
炎のサックス奏者ネイサン
-その2-

 文・写真/クリヤ・マコト

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ころでヴァージニア付近というのはCIAの本部があったり、キャトル・ミューティレーションがあったり、ホルマリン漬けの宇宙人を保管しているパターソン基地があったり、何かと『X-FILE』状態の土地柄だ。実はぼくもこの道すがら怪奇現象に出くわしたことがある。1985年頃、ピッツバーグで演奏しモーガンタウンに帰る途中のことだ。その日は天気が良く、空には月が上り満面の星がでていた。ぼくはFMで深夜のジャズ番組を聴きながら車を飛ばしていた。当時は安物の中古車を騙し騙し乗っていたのでしょっちゅう故障していたが、その日はちょうど修理から返ってきたばかりで好調だった。ところが突然、アクセルを踏んでいるのにスピードメーターがものすごい勢いで下がり始めたのだ。おかしいなあと思いつつもそのまま運転していたら、今度は逆にものすごい勢いでメーターが上がりだした。その上、ラジオは正常にかかっているのに、ライトが暗くなったり明るくなったりし始めたのだ。こいつはまた故障に違いないと思い、ぼくはとりあえず車を路肩に止め、ボンネットを開けて調べてみた。しかし特におかしいところはなく、エンジン音も正常だし電球も異常は見られない。ふと見渡すとあたりは電灯一つ無い真っ暗な状態で、時々どこかの水音が聞こえる以外は物音一つしない。ハイウェイだというのに車も一台も通らず、まるでこの世に自分一人と言う感じだ。こんな所に長居は無用と思い、ぼくは立ち小便をすませて再び車に乗り込んだ。

 

 車は機嫌を直したようで、そのまま時速60マイルくらいで5分ほどいったときである。そこは2車線の道路だったのだが、いきなりものすごい力が車にかかり、丸一車線分横に飛ばされたのだ。まるでゴジラに平手打ちをされたような感じだった。びっくりして血の気の引いたぼくは、ハンドルを力一杯握りしめた。幸い道路の外に出なかったので事故もなく、よほど強い突風でも吹いたのだろうと思って大急ぎで帰宅した。翌日友人にその話しをしたところ、夕べはほとんど無風状態で突風など吹かなかったという。おまけにぼくが車を止めたのはラフ・クリークという場所だったが、昔からラフ・クリークはラフな(Rough:大変な)場所なんだそうである。ここはアパラチア山脈の最も山深い場所の一つで、怪奇現象が起こったとかUFOを見たとか、いろいろとその手の噂が堪えない場所だったのである。

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・ラフ・クリーク付近(今回ではない)、
 何もない


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