クリヤ・マコト ミュージシャンたちの肖像-3
炎のサックス奏者ネイサン
-その5-

 文・写真/クリヤ・マコト

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

回アメリカに来て実感したことは、会う人会う人、皆ヒップホップに対して好意的だったことだ。これはアメリカ本国でヒップホップという音楽が十分に成熟し、あらゆる音楽好きの人々の鑑賞に堪えるまでに音楽性が向上してきたためだろう。実際ぼくも今回和製ラッパーズをプロデュースしたが、メロディーのないリズムとアクセントを極端にフィーチャーしたラップというスタイルでは、言葉はよりストレートに自分に向かって投げつけられる。だから嫌なことを言っていたら率直に反感を抱くし、良いことを言っていればその場で共感を呼び覚ますのだ。ラッパーズの間ではライム、つまり詩的なテーマと表現ばかりではなく、スキルという要素が非常に重要だが、これは端的に言えばラッピング・テクニックのことだ。リズムのはまり方、言い回しのかっこよさ、アーティキュレーション、発音の仕方から身振り手振りまで、たかがリズムに乗った「オシャベリ」とはいえけっこうディープなのだ。

 


--->拡大表示
・キムの修理工房
 ボクのアルバムのチラシがはってあるのが
 うれしい、、、
 エンソニックの認定書もある。

 

 ケヴィンはラッパーズのスキルは、ジャズメンのそれと全く同じだと言う。50年代にダークスーツを着込み細いネクタイを締めてポークパイ・ハットを斜にかぶり、目の回るようなバップ・フレーズを見せびらかしていたジャズメンの姿は、なるほど現在のラッパーたちの姿に重ねることができるだろう。今はそれがナイキのスニーカーやキャップ、あるいはトヨタのレクサスに変わっただけのことだ。どんなジャンルの音楽にも必ず、本当に良いものと屑のようなものが存在するが、ヒップホップも80年代末頃から本格的にジャンルとして確立され、良い物と悪い物が両方存在できるだけの幅を持つようになってきた。だからこそ、良い物は国や人種に関係なく支持を集めるようになったのだ。
 アメリカではラップビジネスに一部ギャングが関係しており、昨年射殺された2pacことトゥパク・シャクールに続いて、つい最近彼のライバルだった大物ラッパー、ノートリアス・B.I.G.が射殺された。ゲットーから立ち上がり、やっとこれから影響力を発揮できるという時に死んでしまった若者たちは、さぞ無念だったことだろう。日本のヒップホップ業界は、今のところそういった血なまぐさいこととは無縁でいい状況だ。今後もアメリカの悪い影響を受けず、良い影響だけ受けて欲しいものだ。

---------------------------

<--Back   ... To be continued.


Webmaster :
ammo@tokyo.fujifilm.co.jp
Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部