Webマガジン「マカロニアンモナイト」週刊フォトエッセイ
勝見洋一の贅沢三昧 第四回
「嗚呼、恍惚の真空管アンプ」-その1-

文・写真/勝見洋一

マカロニアンモナイト






 真空管の魅力はなんだろうと考えることがある。

 まずトランジスターと違って真空管は内部が見える。

 何やらわからない銀色や黒い支柱が立ち、発電所のミニチュアのような精密な機構が見える。それが薄い硝子で覆われている。なんとなく脆そうで繊細な感覚だ。

 この硝子にしても以前の日本製は透明感が足りなかった。ところが三倍は高価なドイツ製になると、まるで光学レンズのように冷たく静かに輝いた。明らかに薄く、そして硬度がありそうである。その輝きの色はぞっとするような銀色で、水面の鏡に皓々とした満月が映っているようだった。そうかボヘミアンのクリスタル・ガラスの伝統なんだな、などと感心したものだ。

1997年6月掲載



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「嗚呼、恍惚の真空管アンプ」
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マカロニ・アンモナイト編集部