勝見洋一の贅沢三昧 第5回
「雄弁なる印画紙」  -その2-

 文/勝見洋一 写真/(C) ND-VIOLLET

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 「二十世紀初頭のパリ・パッシー界隈#1」

 

 

 

 

もかくそれでも住んでいた界隈には愛着がある。若い頃でもあり、通過儀礼のい くつかはこの街で体験したのだ。つい最近、久し振りにパリに行って私は、当時が懐 かしくなって、その頃の写真が欲しくなった。十六区のパッシー界隈のファイルには、二十五年前はおろか、写真の創世記にいたるまでがそろっていた。見ているうちに、私の知らないもっと古いパッシーが面白く、何枚かを買って東京に戻った。
 パッシーはエッフェル塔の向かい側の小高い丘にある。つまり凱旋門からやって来 たメトロはパッシー駅で坂も登らないのにぽっかりと外に顔を出し、セーヌ川にかか るビラケム橋を左手にエッフェル塔を見ながらゴーっと渡って、そのままモンパルナス近くで地下に滑り込むまで地上の高架線を走る。ほら、コンコルドからシャンゼリゼ通りの凱旋門を見るとゆるい上り坂になっている。つまりシャンゼリゼ通りは長い坂道なのだが、その丘陵がパッシーまで続いているわけなのだ。そのパッシー通りは 背後に高級住宅街を控えていることもあって、革製品のピネの店や食器のクリストーフルなどの出店やお菓子屋の老舗のコクラン・エネなどがそろっていて、なかなか充実した商店街だ。


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