勝見洋一の贅沢三昧 第5回
「雄弁なる印画紙」  -その3-

 文/勝見洋一 写真/(C) ND-VIOLLET

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 「二十世紀初頭のパリ・パッシー界隈#2」

 

 

 

 

前、百年前の東京の写真集を見たことがある。関東大震災を経験し、むろん戦争もあったから町並み自体が激変しているが、1926年とデータのついたパッシー通りの 写真は今と街の骨格は変わらない。区画と道の幅、そして建物さえもそのままなのだ 。しかし舗道に張り出した商店のテントの下を人々が行き交う姿は、どうしょうもなく古臭い過去である。街の表皮の部分の違いはあまりに大きい。男はほとんどがチョビ髭で帽子を被っている。着飾った女性ときたらマネかモネの絵のままのロングドレスに日傘を持っている。ことファッションに関する限り、十九世紀末と変わっていないようにみえる。看板の文字も、建物の外観を覆いつくす日除けの桟のついた窓枠もすべてのデザインが古い。要するに第二次大戦後にアメリカ文化が混入する前の、ピュアなフランスの姿だ。佳き時代のままなのである。


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