マダム・キヨコの近代処世術 第2回
「イタリア式恋愛術を学ぶ」 -3-

文/印南紀世子メニヤン  写真/Eric Meignien

* 週刊フォトエッセイ*   






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道ゆく一般市民の中にもその気になっている人がいるようで、ヒラヒラと長いスカートをたなびかせたお姫様装束の子供たちが母親に手を引かれている。フランスでは2月の終わりに仮装して練り歩くカーニヴァルが恒例だから、こんな衣装の一式くらいは持っている子供が珍しくないのだ。私の娘たちも、ヒラヒラのスカートなら長持ちにいっぱい溜め込んでいる。そういうわけで午後は子供同伴で再出撃してみた。

 ところで私の娘たちは、日本人の血のせいか、フランス人にしては押しの強くない父親からの遺伝か、おしゃべりなくせに気の小さいところがあるのだ。家で衣装を着込んだときには大はしゃぎだったのに、シャンベリーに着いたとたん「本当に仮装した人たちがいるの」と心配気である。大丈夫、大丈夫、と歩かせて、歩行者専用区域である旧市街の『金の十字架通り』まで来ると、赤と黒の二色を互い違いに縫い合わせた衣装と、裾を引く長衣にターバンに似たかぶり物の二人の人物が歩いているのが見えた。ほら、中世のムッシューがいたでしょう、と指さすと、ようやく子供たちは安心する。

1997年8月掲載



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「イタリア式恋愛術を学ぶ」

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マカロニ・アンモナイト編集部