マダム・キヨコの近代処世術 第2回
「イタリア式恋愛術を学ぶ」 -6-

文/印南紀世子メニヤン  写真/Eric Meignien

* 週刊フォトエッセイ*   





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振り返れば、先程カフェで見かけたヴィロード金モールの一団が、娘たちを座らせた噴水の横でくつろいでいる。その中の一人の男性が、しきりとチビどもに話しかけているのだ。長女はさっきまでダランと垂らしていた両足をスカートの中に縮こまらせて固くなっているし、次女は上目使いの奇態な表情でイタリア人を見上げている。

 夫と二人で笑っていると、イタリア人は私たちに気付いて中世の騎士よろしく雅に礼を取り、一緒に写真を撮ってもよいか、と訊ねてきた。トリノ人がシャンベリー土産に日仏混血の子供の写真を撮るのか、と思ったが、どうぞ、と答えるとどこからか巨大なカメラをぶら下げた平服の若い衆を引っ張ってくる。トリノ新報派遣のカメラマンかもしれない。うちのチビたちの写真がトリノ新報日曜版の文化欄を飾るのだろうか!中世紳士が子供たちの横に立つと、夫も機会を逃すまじとカメラを向ける。カチカチになった子供たち以外はみんなにっこりだ。

1997年9月掲載



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「イタリア式恋愛術を学ぶ」

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マカロニ・アンモナイト編集部