マダム・キヨコの近代処世術 第2回
「イタリア式恋愛術を学ぶ」 -9-

文/印南紀世子メニヤン  写真/Eric Meignien

* 週刊フォトエッセイ*   





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トリノのイタリア人たちは中世貴族のふりだけをしているのに飽きたのか、おかしな遊びを始めた。二人の男が見えない糸の両端を持って、通行人を待ち構える。通り掛かる人々は糸に絡まったり、気付いて腰をかがめたり。はさみでチョキンとやられると、二人の男は、しまった、と悔しがる。ありもしない糸を持つしぐさ、待ち構えて、やった、とおかしがる。彼らはそんな小さないたずらを演じて、遊んでいる。

『ひまわり』でマストロヤンニが演じたのは、新婚の妻と別れないために狂気を装い、兵役から逃れようとする男の役だった。芝居はすぐに見破られ、彼はシベリアの前線に送られる。

 イタリア人たちの遊びを、土曜日の午後をくつろぐフランス人たちが取り囲んで見ている。いったいどうしてこんな人たちがドイツ人と組んで戦争を始めたのかしら、と私が言うと、しかもそれにフランスは負けたんだからなあ、と夫が感想を加えた。

1997年9月掲載


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「イタリア式恋愛術を学ぶ」

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マカロニ・アンモナイト編集部