カイロ徒然
      -その1-

文/河野朝子  写真/中山慶太

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の中には、吉村作治教授のように子供時代に読んだ一冊のエジプト発掘の書物によってエジプト考古学に興味を持ち、そのまま研究者を職業にしてしまった人もいれば、私の昔の会社の同僚Sちゃん(女性)みたいに小学生の時に『ツタンカーメンの呪い』を読んで眠れない夜を過ごして以来、とにかくエジプト物はすべて大っ嫌いになって20余年の月日を送ってしまった人もいる。
 彼女のエジプト嫌いは徹底している。ある雑貨屋に一緒に行ったときのことである。Sちゃんが直立不動で正面を見据えたままオロオロしているので何事かと思ったら、彼女は顔を動かさず正面を直視したまま後方42度くらいを指さし「こ、ここにアタシの嫌いな物なぁい?」と尋ねてきた。目を落としてみれば、そこには古代エジプトの壁画模様の筆箱があったのだった。Sちゃんは、自分のオカッパに切った髪型がクレオパトラみたいでイヤだ!とジタバタしていたこともある。その手のものは例えジャイアント・ロボであろうと許さない筋金入りなのだ。
 同期のNちゃんが「Sちゃんには悪いけど、アタシ、新婚旅行でエジプトに行くんだぁ」と言い出したときは「なぁんでそんなところ行くかなぁ」とSちゃんは相当イヤな顔をした。Nちゃんは帰国後、おみやげにピラミッドか何かのマーク入りタバコをくれたのだが、それを会社の机の上に置いておくだけでSちゃんは「やめて」と言ったものである。
 そういえば、カイロを歩いていたNちゃんは、その会社を以前退職した女性に、突然ばったりと遭遇してしまったそうだ(その女性には他の国でもばったり、と言うことがあったらしい)。世界は広いんだか狭いんだかわからない。


... To be continued.  

 


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