マダム・キヨコの近代処世術 第4回
「木を植える男」  -2-

 文・写真/印南紀世子メニヤン 

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「まあ、中世からだろうね」と夫は答えた。
「フランスの人口は十一世紀の頃から急激に増大した。人が増えて産業や経済が発達したけれど、社会の田園地帯への依存度は、十九世紀に至るまで現代とは桁違いに高かったんだ。都市部への建築材や燃料の補給も森林を破壊したけれど、農地や牧畜用地の拡大も森に被害を与えた」
「耕地や放牧につかう土地を得るための無軌道、無計画な伐採が何世紀も続き、それに産業革命を迎えての燃料としての木材需要の増加が加わった。それやこれやでフランスの森林地帯は十九世紀半ばに最悪の段階に登りつめたんだ。こんな無茶な状態は、もちろん自然災害をよびおこした」
 首をまわして人垣の間からさがすと、展示された写真の中には山筋を伝って落ちてきた土石に潰された山村の光景もあった。
 主催者に紹介され、山岳地帯修復班サヴォア支部の責任者が話を始める。
「この写真展の計画が申し出られたとき、私は特に驚きを感じませんでした。なぜならこの種の写真において私達は、歴史、内容、枚数の全ての点で、国内で最も貴重なコレクションを所有しているからです」。


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