マダム・キヨコの近代処世術 第4回
「木を植える男」  -3-

 文・写真/印南紀世子メニヤン 

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1816年にニセフォル・ニエプスが開発した写真技術は、風景写真の感光に八時間を要する不完全なものだったが、ニエプスからの技術提供を受けてダゲールが完成した「ダゲレオタイプ・銀板写真法」はその欠点を大いに改善した。1850年代には写真撮影を商業基盤に載せたナダールのような写真家も現れたが、1882年に制定された「山岳地帯修復法」を受けて活発な活動を行っていた森林技術者達は、活動の初期から写真のもつ記録性に着目し、組織的な撮影を進めた。
 山を修復すること、裸にされた斜面を本来あるべき姿に戻すという作業はしばしば人の数世代に渡る労力を要求する。
 以前は山間作業員の宿泊所だった山小屋で、ちょうど百年を経て撮影された二枚の写真を見たことがある。うつされた当の峰を小屋の中から望める窓辺に、二枚の写真は並んでいた。十九世紀末の殺伐とした姿と、木々に包まれた現在の姿。この植林作業を始めた人々は、どういう映像を思い出にかかえて世を去ったのだろう。


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