灰色の空のロックンロール
  (イングランド名所巡り)

-1.空は灰色でなくてはならない-

文/河野朝子  写真/中山慶太

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の夕方、降り立ったガトウィック空港の空は灰色だった。

 赤味も黄味も青味もない平べったい灰色の空を見上げただけで、もうじわじわとこみ上げてくるものがある。だからなんだ、イングランドの空なんてたいがい灰色だ、と突っ込まれそうだが、垂れ込めているわけでもなく、雲が高いわけでもない、こんな空の下から、私が愛して止まない数々の音楽が生まれたのだ。やっぱりイギリスの空は灰色じゃないとな。

 空港を出て乗ったバスが走り出したとたん、アタマの中でデイヴ・ギルモアのギターの音色がこだまし、灰色の空を背景にシルエットで浮かび上がる葉を落とした木々の隙間をケイト・ブッシュが踊り始め、何色をも反射しないエヴァ・グリーンの芝生の上でボーイ・ジョージがコートの裾をひるがえす。イギリスだぁ……。たかが空が灰色なだけでこれだけ感動できれば世話がない。

 窓の外の風景を眺めながら、この空の色だからこそ、真冬だというのに芝生だけがやたら鮮やかな緑色をしていてもいやらしくないのか、などと思う。いや、やっぱりあざといか、ま、どっちでもいいや、とにかく、私はイギリスに着いたのだ。

 




... To be continued.


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