勝見洋一の贅沢三昧 第9回
「ピラミッド昔噺」  -その1-

 文/勝見洋一   写真/勝見洋一

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便受けを開けるときというのは、何となく楽しみのような不安のような複雑な気分でる。
 あの小さな箱には吉凶何が待っているかわからない。
 薄っぺらい茶封筒などというのが案外恐い。請求書だったりする。いくつかのダイレクトメールに混じって中途半端な大きさの封筒があった。これは大体、吉。パーティーの招待状が多い。しかし貼ってある切手は日本のではない。私の住所と名前が恐ろしく下手な癖字で書いてあり、これでよく日本の郵便局が読めたものだと思う。
 どこからだろう。差し出しを見て驚いた。レストラン・ピラミードと印刷されていたからだ。部屋に入るなり、さっそく封を切る。残念ながら招待状ではないが、何ぺ−ジかのカラ−印刷のパンフレットだった。懐かしい門構え、中庭、そして客席などの写真。実に複雑な心境を味わったが、これはたぶん、このパンフレットが送りつけられた「かっての」客が多かれ少なかれ感じたことだろう。なにしろ顧客は「あの事件」を契機に、いっせいにレストラン・ピラミードから遠のいたのだ。
 「あの事件」を語る前にまず外部の話から。


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