●Night Shift 連載第22回
「Rocket」

文・写真/小中千昭

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ニメーション化され現在放送中の『夢のクレヨン王国』を、私は一ファンとして毎週観ている。
 ヒロインのシルバー王女達が月に行くエピソードがあったのだが、この原作である児童文学が書かれたのは、人類が月面着陸するより以前の事だったという。作品の息の長さに感嘆した。

 アメリカのアポロ宇宙船のクルーが最初の足跡を月の砂に残した、記録の日――。私はリアルタイムでテレビを見ていたが、一緒に見ていた母親の方が興奮していて、子どもである私は冷めていた気がする。
 物心ついた時からSF映像に接してきた私には、現実の月面着陸など、既視感しか感じられなかったらしい。
 すぐに月へは定期便が敷かれ、基地が建設されてあっという間にSF的な世界が出来てしまう、とも思っていた様だ。
 しかし実際には、その後月面に着陸した人類は数える程。月面基地など未だに建設されていない。
 実際に宇宙計画に携わっている人はさておき、世間一般が宇宙開発を望んでいるかというと、そうは思えない。日常の生活が手一杯で、他の天体など構ってる余裕が無いのだろうか。
 今の子ども達は、星への旅をしたいという夢を持たないのだろうか。

 私は、アームストロング船長の“偉大なる一歩”の感動を抱けなかった、あの頃の自分が嫌いだ。
 子どもらしい夢を、子ども自身が持てなかった。
 今、私は子どもに向けてフィクションを発信する仕事をしている。その“子ども”とは、あの頃の私自身なのだ。


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