勝見洋一の贅沢三昧 最終回
「時間を撮る、ということ」  -その1-

 文・写真/勝見洋一

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「はい、お上手。いやぁ大したもんだ。実にいい構図だねえ。いゃあ敬服。絵葉書より堂にいってるねえ。偉いもんだ」
 こういう誉めかたをされれば普通はバカにされているのだろうが、私はいい気分になった。まだ小学生のころで、私の撮った写真を誉めてくれたのは天下の写真家、木村伊兵衛だった。
 もっとも大写真家と知ったのはあとになってからのことで、当時は「おかしなおじさん」だと思っていた。
 なにしろいつも昼からうちにきて祖父と酒を飲んでいる。おかしなおじさんはほかにもいて、川端康成氏だとか小林秀雄氏たちが応接間にたむろしている家だった。祖父が美術商をやっていて、美術品を前にしての雑談会だったのだろう。
 その中で、子供の目から見ても、木村伊兵衛氏がおかしさではいちばん抜きんでていた。


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