●Night Shift 連載第31回
「Bungeiza」

文・写真/小中千昭

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〜四年前までは、毎年ロードショー公開される映画を、年間百五十本程観ていた。学生の頃は、名画座も合わせれば三百本以上は観ていた。そのくらいは、映画好きならごく当たり前の数だった。
 仕事が加速度的に忙しくなるにつれ、今は年に数本しか劇場では観る事が出来ない。名画座で古い映画を観る機会など全く無くなってしまった。
 しかし、それ以前に名画座そのものが絶滅しようとしてた。

 池袋の文芸座は、都内の名画座では最も有名な劇場だったと思う。 勿論、よく“通った”ものだ。古い映画は、今はビデオで観るのが普通だけれど、本来、観られるべき環境で鑑賞出来た事は幸福だったと思う。
 併設されていたル・ピリエという小さな劇場では、私の自主映画を上映させて貰う事もあったし、弟で今は映画監督をしている和哉の、商業デビュウ作品は、この文芸座が出資したものだった。

 閉館した、という報らせは聞いていたものの、実際、シャッターの閉まった小屋の前に立ってみると、月並みなものでない感慨が湧いてくる。
 誰もが違う感慨を抱くのではないだろうか。
 この劇場で、どんな映画を観て、どんな映画に感化されたかは、その人ごとに違う筈だからである。
 でも、感じる寂しさは、誰しも一緒だ。


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