●Night Shift 連載第32回
「Wired」

文・写真/小中千昭

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1920年頃のニューヨークの写真を見ると、夥しい電線が摩天楼の下に張り巡らされていて、まるで別の街の様に見える。
 早い時期にこの街は、送電線や電話線の類を地下に埋設し、空中に張った電線を撤廃して、今の景観を獲得している。

 翻ってこの日本では、電線は消える気配などおくびにも見せず、都会であれ田舎であれ、山の中にまでもその網を途切れさす事なく広げている。
 人の暮らしを支える電気と、人と人の関係を繋ぐ電話線。これらが常に頭上に目に見える形で在り続けるというのは、とてもサイバーな事だと思っている。
 あるアニメーション・シリーズのシナリオで、私は毎回、執拗に電線の描写をト書きに書き込んだ。
 人と人が、無意識領域下で繋がっているというモチーフの作品で、それ自体を、電柱や電線のある風景は象徴的に現してくれている。

 しかし――、個人的な嗜好からしても、この日本の状態はいささか情けない感を否めない。
 電柱が道を狭くし、台風が来ては切れて停電を引き起こす電線は、決して格好良い存在ではない。早く地下なりに埋設出来ないものかと思ってしまう。その時、再びコミュニケーションをテーマとした作品をやらねばならない時、何にその風景として象徴させるかは悩むだろうけれど。


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