シチリアの男と食卓、太陽のエロス
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文・写真/河野朝子

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世界有数の美しい街、パレルモにこれでもかと
舞うイタリア国旗。この色がイタリアに似合う。



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イタリア中の眼鏡屋さんの店頭を飾っていた
デル・ピエーロ君。次回はガンバレや。

 

ういえば、映画『グラン・ブルー』の中でジョアンナが、ジャックに会いにシチリアの西海岸タオルミナに行きたいばかりに上司に向かって叫んでいたのが「パチーノ!デニーロ!」だった。
 私が、シチリアに行くの、と言うと『ゴッド・ファーザー』すなわちマフィア、を口走る人がやっぱり多かった。次に『グラン・ブルー』それから『ニュー・シネマ・パラダイス』、『明日を夢見て』もあったぞ、といった具合に、古くはヴィスコンティ監督の時代からシチリアはさまざまな映画の舞台となってきて、多くの異国人達に恐れとあこがれを抱かせてきた。「ニュー・シネマ・パラダイスみたいなとこ行きたーい!でもヤクザこわーい!」である。
 そんな悶々とした思いを抱きながら暮らしていたある日、ついに私の頭の中で「行きたーい!」が「こわーい!」に大逆転勝利してしまった。シチリアに行くぞ、と。もちろん衣服の下の腹巻きにパスポートと航空券を忍ばせて、ではあるが。

 あのとき、世間はちょうどフランス・ワールドカップの真っ最中だった。
 普段サッカーなどろくすぽ見ない私だってお祭りには参加したい。とりあえず『W杯を占う』みたいなテレビ番組をハシゴしてみる。各国の戦力の分析などが行われているが「あ、あの人Jリーグにいるよね」くらいしかよくわからん。よくわからんなりに見ていてもこれだけはとっくりと観察してしまうのが選手達の男ぶりである。私みたいな人間にはブラジルの中盤が意外に脆かろうが、イングランドのフォワードが10代の天才だろうがちっとも関係ないのである。
 前回ロベルト・バッジオに燃えて最後に転けた私は、今回はデル・ピエーロ応援団として不死鳥のように甦った。真剣な眼差しで全力で勝負しているバッジオが映ると「いやーん、デル・ピエーロ君早く出してー!」とテレビの前でジタバタする始末。それにしても各国選手団を見比べていると、やはり、イタリアがダントツに格好いい(と言うか、私の趣味です)。

 サッカー自体はやっぱりブラジルの動きが一番しなやかで見ていて楽しいんだけどね、などとわかったような口を叩きながら、さてさて、パスポートと航空券は腹巻きにしまったからよほどのことがない限り大丈夫として、このアバラの下に隠したハートを奪われちゃいそうだぜ、イタリアの男達に!てなお調子こいてパレルモの空港に降り立ったのだった。


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