バーチャルワインバー
「天孔雀亭(amano‐kujaku‐tei)」
  --王様の赤ワインを探して(その1)--

 文・写真/中山慶太

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収穫期の畑は1年の総決算。
北イタリア・ピエモンテ州のランゲ丘陵には、
今年も季節労働者の笑顔が戻ってくる。

 


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『今週のワイン』
ピエモンテ・ワインの改革者アンジェロ・ガイア
Angelo Gajaの作品は、偏執的に追求された
高品質で愛好家の垂涎の的。
右からガイア『バルバレスコBarbaresco』
1967年、1990年、1971年、『バローロ・
スペルスBarolo Sperss』1989年。
彼のバルバレスコには単一畑の名を冠した
シリーズもあり、イタリアワインとして最高の
評価と価格を維持し続ける。

あ、いらっしゃい。お久しぶりですね。ちょうど良いところにお越しになりました。さきほどデカンテしたワインがあるので、まずはこちらからお試しになりませんか。ジビエの季節に絶好の逞しい赤です。
 さあ、どうぞ……いかがですか? 複雑な香り、舌を刺激する渋味のなかに凝縮された葡萄の果実味を感じる。ふむ、なるほど。それではボトルをご覧いただく前に、少し葡萄の話をしましょう。
 ワインの性格を決める要素として、真っ先に挙げられるのが葡萄品種です。作曲家が器楽曲で楽器を選ぶように、醸造家は葡萄品種で作品のイメージを描く……しかし、実のところ醸造家の選択肢はそれほど多くありません。ヨーロッパの主要なワイン産地では、数世紀にわたる選別で栽培に適した品種が決められてしまっているからです。土地の性質や気象条件は不変の(あるいは不可侵の)ものとされ、醸造家が伝統を守るかぎり、彼の畑に植えるべき品種はせいぜい片手で足りる程度の数に過ぎません。
 実のところ、醸造家の手元にはもっと豊かな選択肢が残されるはずでした。ヨーロッパの各地には昔からその土地に固有の品種、土着の葡萄が数多く存在していたからです。ところが、土着品種の多くは19世紀後半に新大陸から渡ってきた害虫(フィロキセラ:葡萄根アブラムシ)によって絶滅してしまいました。もちろん主要な品種はアメリカ産の台樹に接ぎ木する方法で命脈を保ったのですが、結局これが土着品種の淘汰を一気に進める結果になりました。

注)赤ワインを飲む前にカラフに移し替えることを“デカンテする”あるいは『デカンタージュ』などと呼ぶ。ボトルの底に澱が堆積した古酒では必須。まだ若いワインでも、大量の空気に触れさせて酸化を一気に進行させることで香りを開かせる、二酸化硫黄(SO2)の匂いを飛ばす、タンニンを和らげる、といった効能がある。どんなワインでもデカンテすれば香りや味わいは変わるが、飲み手にとって常に望ましい変化と限らぬから注意が肝要だ。


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バーチャルワインバー『天孔雀亭』からプレゼント

今月は葡萄の枝のワインオープナー。フランスの銘醸地、ブルゴーニュの古い葡萄の樹で作られています。
応募はposteriのコーナーからどうぞ(『天孔雀亭』 の感想も書いてね)。


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