南イタリアシリーズ第2弾
「ナポリで歌ってソレントで食べて」
  -9.サンタルチア  2-

文・写真/河野朝子

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名物、洗濯物はためくスパッカ・ナポリ街




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サンタルチア港だ、さぁ、歌おう!

パッカ・ナポリは『絵に描いたようなナポリ』である。ちゃんと道の真ん中に洗濯物だって干してある。
 思っていたより細い通りをずんずん進んでいくと広場をちょっと右に折れたところに第1お目当てのサン・セヴェーロ礼拝堂がある。ここはヴェールをかけたキリスト像でつとに有名な礼拝堂だ。実は本物の人間にヴェールをかけて、その上から石膏みたいな液体垂らして固めて大理石に見えるようにしてあるんじゃないの?と言うくらいリアルなのだ。そんなリアルすぎる塑像の集団に囲まれた礼拝堂は、宗教施設と言うよりは博物館のようでもある。
 なんたって「ウッソー!」だったのは地下に飾ってあった『動脈と静脈だけになった人間』である。噂によると、今より200年くらい前、生きながらにして血管に『血液を石化させる薬剤』をゆっくり徐々に注入され、血管硬化後どのようにしてか皮と肉を綺麗に取り去られ、ついには血管と骨だけになってしまった男女、なんだそうだが、その二人がガラスのケースに入れられ直立して陳列してあるのだ。内臓の周囲に細かい血管が這い回っているのもかなり本物っぽい。作り物にしては精巧すぎるのだが、いったいこれをなんと説明したらいいんだ。

 ホテルのオバサンの指導のおかげで泥棒にも遭わず、観光を満喫し、おいしい物も食べた私たちは「ナポリを見て死ね」と言われてもいまいちピンと来ない、ごちゃごちゃと陽気な街を抜け、港に出てみた。ナポリで港と言えば、そう、サンタルチアだろう。このあたりもガイドブックには「危ない」と書いてはあるのだが、サンタルチア港まで来てするこたぁひとつ。パバロッティのベスト盤にも入っていなかったから、ここは自称アジアの歌姫のわたくしが『サンタルチア』を日本語で歌わさせていただきます。海風を浴びながらいちゃついているアベックの怪訝な視線をよそに熱唱は続く。それにしても、どの「かなた島」になんの用で友達は行っちゃったんだろう。今まで考えたこともない歌詞の意味がにわかに気になる夏の午後だった。


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