バーチャルワインバー
「天孔雀亭(amano‐kujaku‐tei)」
  --『法皇の畑の赤ワイン(1)』--

 文・写真/中山慶太

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陽光あふれるプロヴァンサル・ターブル。


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『今週のワイン』
その知名度に反して、日本での人気はいま
ひとつの感があるパープ。それゆえ、しかる
べき年月を経た古酒はなかなか探しにくい。
これはなんとも不幸なことというべきで、
パープがその本領を発揮するには長期の熟成
が必要なのだ。このボトルはブルゴーニュを
代表するネゴシアン(酒商)たるルロワ社
Leroyのセラー から最近出荷されたもので、
ヴィンテージは1978年。造り手はつまびら
かでないが、近年ドメーヌの女主人としても
鳴らすビーズ・ルロワ夫人のお見立てはあざやか。

らっしゃいませ。先日は新年早々にお越しいただきありがとうございました。甘口ワインの連続で、さぞお疲れだったでしょう。今日はお約束のワインをご用意させていただきました。晩冬から早春に向かう季節にふさわしい、滋味あふれる赤ワインです。
 さて、最初の一杯をお注ぎします。ああ、とても濃い色ですね、ほとんど黒に近い赤紫で。それでは香りを利く前に、この色からワインの素姓を推理してみましょう。たまにはこういう遊びも楽しいものですよ。
 まず、原料は黒葡萄(あたりまえですね)。それもこの色の濃さは、果皮の厚い葡萄であることがわかります。果皮が厚いということは、日差しが強く日照時間が長い地方に育つ葡萄である、と考えられます。そしてグラスの縁の鮮やかな赤紫色は、このワインがまだ若いことを示している。歳月を重ねると、こういうワインでも鮮やかな原色を失って煉瓦色に近くなっていくものです。畑の土の色に近づいていく、とも言えるでしょう。
 若い時期に濃い赤紫を見せる葡萄品種はなんでしょう。イタリアのバルベーラ種? それにしては赤が濃すぎますね。スペインのテンプラニーニョ種? それとも南フランスかカリフォルニア、またはオーストラリアのシラー種でしょうか。
 では、香りを利いてください。……いかがですか。おや、胡椒の香りがする。それと、ビターアーモンド、そしてある種のハーブの香りも。
 さて、葡萄品種はなんでしょう。南フランスのシラー種? ご明察、と申し上げたいところですが、実はこのワインは複数の葡萄のブレンドで造られています。そのセパージュ(原料品種)は実に13種類で……。え? それは反則だ、ゲームになってない、とおっしゃるのですか? いや、ごもっとも。それではボトルをご覧いただきましょう。南ローヌ地方の銘酒『シャトーヌフ・デュ・パープChateauneuf-du-Pape』です。

注)上記のようにワインの色から葡萄品種を類推することは可能だが、あくまでも一般論で例外はある。たとえばブルゴーニュの主力品種であるピノノワール種は果皮が薄く、色の濃い果汁を抽出することは難しい。にもかかわらず、強烈に濃い色調のワインを造るドメーヌがあって、これは醸造時に果皮の漬け込み(マセラシオン:バローロの項参照)を低温で長時間行う造り手に多く見られる特徴のようだ。


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