「イングランド、地の果てへ」
  −ペンザンスとランズエンド−
           -1-

文・写真/河野朝子

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ロンドン、パディントン駅


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たまには事件も起きます(ペンザンス近郊)。

ギリスで長距離列車に乗るのは初めてだった。どの車両に乗ったもんだろう、と迷っているウチにプラットフォームの先端まで来てしまった。運転席のすぐ後ろのドアから車両に乗り込むとそこには席なんてなく、自転車が一台置いてある小さな部屋があっただけ。おや、と思い再びプラットフォームに出ると背の低い黒人青年がゲラゲラ笑っていた。
「そこは自転車置き場。入り口はこっちだよ」
 肉体労働のユニフォームを着た彼は私が転がしていたピギーバッグを持って、自転車置き場があるのと同じ車両の後ろ側のドアから車内に入り、ドアのすぐ脇にある棚に載せてくれた。
「どこ行くの?」
「ペンザンス」
「へぇ、どのくらいかかるの?」
「5時間」
「うへー!じゃあ寝て行くんだな」
 ここイギリスに来て男性に荷物を持ってもらったのも初めてだった。B&B(民宿)の屋根裏部屋までだろうが、地下鉄の駅の長い階段だろうが、女がひとりでズルズル荷物を引きずっていても誰も寄ってこない。某ラテン国ならコンマ数秒で男がやってきて「手伝いましょう」と言うことになるのだが(そしてちょっと目を離すと荷物がなかったりもすることもあるんだろう)。
 それから、彼の口振りから察するに、電車の入り口に荷物を置きっぱなしにして寝転けててもこの国では大丈夫らしい。安心ではあるが、ちょっと淋しい気もする。
 電車は間もなくほぼ定刻通りにロンドン、パディントン駅を出た。
 途中信号機の故障か何かで電車が数分遅れたのだが、車内アナウンスで「当車、定刻より5分ほど送れております。ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません」などと盛んにやっている。なんだ!この国は!ほんの少し遅れただけで謝ってるぞ! 電車に乗るときも、足元にご注意、とか、駅構内にアナウンスが流れて、なんだか日本みたいで懐かしいようなうざったいような、緊張感のないところ。


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