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ヘリコプターに乗ろう。その思いつきは良いとして、どこに行けば乗れるのか。実は東京近郊で暮らすひとにはけっこうな選択肢がある。僕が選んだのは埼玉県の川島町というところにある、本田航空だ。ここはアンモでもお馴染みのモータージャーナリスト、下野康史さんがいぜん雑誌で取材に赴いた会社でもある(その顛末は下野さんの快著「運転」に詳しい)。
さっそく同社のサイトをネットで検索してコンタクトを取る。こちらの取材申し込みに対応してくださった第一マーケティング部の久保敦さんは「冬場は毎週日曜日に遊覧飛行を行っていますので、それで実機を体験されてはどうでしょう」という。パイロットの方からも話を伺えるし、機体外観や整備場、機内の撮影もOK。願ったりである。
ご存知の方も多いと思うけど、本田航空という会社は「バイクのホンダ、クルマのホンダ」を母体としている。創立は1964年、70年には埼玉県に飛行場を建設して軽飛行機の運航をはじめた。ヘリコプターの運航は75年からというから、もう30年の実績を持つことになる。ちなみに同社の本拠地であるホンダエアポート、別名「桶川飛行場」は荒川の河川敷につくられた軽飛行機のメッカで、東京近郊では有名な存在。飛行船が係留されることもあるという。
そのエアポートがある河川敷と、土手をはさんで接する本社社屋で、久保さんから話を伺う。
「当社設立のきっかけですか? それは本田宗一郎(ホンダの創始者)が無類の飛行機好きだったからです。生前は東京、川越、浜松そして鈴鹿と、事業所間の移動に好んでヘリコプターを利用していました」。
本田宗一郎氏が残した数々の伝説はクルマ好きにはお馴染みだけど、飛行機好きだとは知らなかった。多忙な宗一郎氏にとって、滑走路を必要としないヘリコプターは格好の移動手段だったはずだが、ビジネスの必然ではなく無邪気にはしゃいで飛ぶ姿が目に浮かぶ。
「ええ、ご自身が飛行機少年だったそうですから。でもご自分で操縦桿を握ったことはないはずですよ」
本田航空は現在、10機の固定翼機(軽飛行機)と4機の回転翼機を所有し、商用として運用している。運行はチャーター便が主体で、航空測量や災害時の救難も重要な仕事らしい。企業や公共団体が所有する機体の運用や整備も手がけるほか、フライングスクールで操縦士の教育も行っている。国内大手航空会社のパイロットがスクールのお世話になることも多いらしい。彼らはアメリカで訓練を積んで免許を取るのだが、日本のライセンスを取得するためにここで飛ぶのだそうだ。
社屋のロビーで取材していると、パイロットの道野善寛さんがやってきて「お話の続きは飛行場でどうですか。今から機体を動かしますから、とりあえず乗っていってください」という。
とりあえず動かすって、どうやって?
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| 格納庫からエプロンに引き出されたAS350B。胴体の全長は約11メートル。それに対して全幅は1.8メートル、つまり3ナンバーのクルマと大差ない。自重はほぼ1トンと、こちらはリッターカーなみである。3翔のメインローターはグラスファイバー製で、回転面積は約90平方メートル。住宅の床面積に換算すると約27坪、都内のマンションならけっこう広い部類だ。回転翼機がいかに大きな翼を必要とするかよくわかる。 |
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