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ヘリコプターに乗ろう!(前編)

文・写真/中山慶太  取材協力:本田航空株式会社
前編目次 1 2 3 4 →後編目次へ 2004年3月掲載


§免許を取るのはちょっとタイヘン§


 本番の体験飛行は日が傾く夕方でお願いして、それまでの間は滑走路脇のトレーラーハウスでじっくりお話しを伺うことにする。といっても快晴のこの日はお客さんが多く、道野さんも久保さんも忙しそうだ。

「いえ、ヒマな日もあるんですけどね」

 パイロットの道野さんは熊本生まれの42歳。ヘリの免許を取得したのは28歳の時という。以来これまでの飛行時間はおよそ2100時間。「長いひとは5000時間くらいですから、まあ、中っくらいですね」と言うけど、ヘリは固定翼機に比べて飛行時間は短めだから、もうベテランの部類に入るらしい。ちなみに固定翼の免許(自家用)も取得しているが、免許を取るのは回転翼の方がずっと大変だそうだ。

「自家用免許の取得には100時間くらい飛ぶんですけど、事業用だとその倍も飛ばないといけません」事業用免許の取得費用は、現在の相場で800万円もかかるそうで、コストの安いアメリカで取得するひとも多いらしい。また固定翼と違って、ヘリは「機種ごとに免許がある」そうで、新しい機種が導入されたら研修を受けて免許を取り直す必要がある(おなじメーカーで類似した機体などでは免除される場合もある)。他に単発機と大型の双発機、いわゆるタンデムローター機などでも免許が違うそうで、いちど免許を取ればなんでも操縦できるわけではない。

 ライセンスの関連でいうと、回転翼・固定翼ともに、免許の取得までには単独飛行も義務づけられている。それまで教官と一緒だったところに、初めてひとりで飛ぶのはかなり怖いのでは、と思ったが、道野さんは「嬉しくて(気持ちが)舞い上がりっぱなし」だったそうだ。

「今まででいちばん遠くまで飛んだのは、ここから岡山まで。阪神淡路大震災の救援物資を運んだ時ですね。だいたい700kmの距離を3時間かけて飛びました」AS350Bの航続距離を目一杯に使って、時速200kmで淡々と飛んだのだという。スピードは新幹線に負けるヘリだけど、直線距離で飛べるので所要時間はこちらに分があるらしい。日常の業務でそこまで飛ぶ例はほとんどないが、ホンダの事業所とサーキットがある鈴鹿へは良く飛ぶそうだ。

 ところで道野さんは、なぜヘリコプターの操縦士になろうと思ったのだろう。空を飛ぶのが好きなら、大型の固定翼、たとえばジャンボジェットのパイロットという選択肢もあったはずなのだが。

「私は回転翼の方が好きだからでしょうね」

 道野さんによれば、回転翼機の魅力はその自由度にある、という。「許可さえ取れば田んぼでも」どこにでも降りられる。スキッド(降着用の脚)にスキーを履かせて雪山に降りたこともあるそうだ(この話を横で聴いていたセヤマ・マリコが、「ヘリコプターでスキーするんですか」と真顔で言った)

 だが道野さんがヘリに惹かれるほんとうの理由は、操縦の自由度にあるのだと思う。究極の三次元運動を可能にする恐るべき機動性、その一端を垣間見る体験飛行記は次号後編にて。

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本田航空の「ヘリ体験飛行」は手頃な料金で人気のプログラム。この日は合計10組ほどのグループが空の散歩を愉しんでいた。端で見ていると子供や女性より大人の男性の方がずっと興奮して乗り込み、嬉しそうな顔で降りてくる。それにしても、前の座席に乗りたがる人が少ないのはなぜだろう?











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東京レトロフォーカス」でお馴染み、今回は特別出演の脊山麻理子さん。高いところは苦手のはずなのに、この日は早起きして遠方から参加してくれた。初飛行を終えて余裕のマリコスマイル、だがこの後に彼女を待つ運命は……。次号後編に乞うご期待。



●本田航空(株)ではヘリコプター体験飛行をはじめ、スカイダイビングの支援など多彩な飛行プログラムを企画運営しています。詳しい情報はこちらへ。
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