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ヘリコプターに乗ろう!(後編)

文・写真/中山慶太  取材協力:本田航空株式会社
後編目次 5 6 7 8 9 →前編目次へもどる 2004年4月掲載


§やっぱりヘリは面白い§


 格納庫前のエプロンに着陸したAS350Bは、その場で整備士のチェックを受けた後に格納庫に入れられる。ドリー(運搬用の車台)に載せられて整備車に押される姿は陸に上がったシャチのようで、なんだか微笑ましい。

 ロビーでタクシーを待つ間、道野さんに「いつもああいう飛行プログラムなんですか」と訊ねてみた。すると少し間をおいて「それはお客さまによりますね」という答え。同乗のマリコが副操縦士席で絶叫してくれたおかげで、僕らはちょっぴりスペシャルな体験ができたのかもしれない。たった数分のフライトだったけれど、僕のアタマのなかで時間の感覚はすっ飛んでただ満足感、いや満腹感だけが残ったのだ。


 こうして僕のヘリ初体験は無事に終わった。さて、ヘリコプターという乗り物をどう表現すればいいだろう? その超絶な運動性はいままで体験したことのない世界を見せてくれた。あれを自分で操れたらさぞかし愉しいだろうと思う。夢想することしかできないけれど、できれば自宅の庭に置いておきたい。

 さいきんの飛行技術はものすごく進んでいるから、固定翼機でも相当に高度な機動性を持つ機体が存在する。欧米の航空ショーでアクロバティックなディスプレイを見せるロシアの戦闘機など、コブラが鎌首をもたげたような姿勢で飛んだり、失速状態からほとんど墜落に近いようなシークエンスで立て直す高機動を売り物にしている。凄いと思うけど、でもあれは機上コンピュータ(補助翼の蛇面を毎秒数百回も制御できるらしい)に支援されているからできることだ。近い将来に民間用の機体でも機上コンピュータがあたりまえになるだろうが、趣味で飛ぶ機体には完全マニュアル操作が残るだろう。人間の身体の延長のような感覚で操縦できる(ような気がする)ヘリコプターは、空のモーターサイクルのような存在かもしれない。

 冒頭で紹介した英国の作家は、空を「ほんとうに寂しい場所」と表現した。それもひとつの真実だろうけれど、世の中には空をこれほど愉しい場所に変えてくれる乗り物もあるのである。


 今回の取材でご協力いただいた本田航空の久保敦さん、素晴らしいフライトを体験させてくださった道野義寛さんにこの場を借りてお礼を申し上げます。

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飛行を終えた機体がドリーに載せられて格納庫に向かう。空中での自在な機動性が嘘のような光景。








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今回の取材に対応してくださった本田航空(株)第1マーケティング部の久保敦さん。背後に見えるのは同社が所有するセスナ機で、久保さんご自身も固定翼機の免許をお持ちだそうだ。そういえば同社の母体のホンダでは航空機事業に本格的に乗り出すようで、ビジネスジェットや小型機の生産が間もなく始まるという。ホンダ製のヘリコプターもやがて登場するのだろうか?



●本田航空(株)ではヘリコプター体験飛行をはじめ、スカイダイビングの支援など多彩な飛行プログラムを企画運営しています。詳しい情報はこちらへ。
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