マカロニアンモナイト
月刊特集
写す人 第三回
写真

写真用レンズの最前線を探る

−新生フジノンを訪ねて−(後編)
文・写真/中山慶太  取材協力:フジノン株式会社

後編目次【5】678 2005年2月掲載

§与えたもの、与えられたもの§


 前編に引き続き、カメラ事業部・橋本史朗さんによるGX645AF(ハッセルブラッドH-1)プロジェクトのお話である。

「共同開発でいちばん苦労した点ですか? それは言葉の壁ですね。ええ、打ち合わせは基本的に英語です。先方の母国語(スウェーデン語)ではこちらも手も足も出ません(笑)。英語なら基本的な部分はそれほど問題がないのですが、細かい部分で意志の疎通に苦労しました」

 具体的にはどのような部分が伝わらないのだろう。

「カメラやレンズなど、ハードウェアの認識は共通していました。でもソフトウェア設計はニュアンスが違うんですね。GX645AFはシステムのあらゆる部分が電子的に結合されて、そのソフトウェアでメカをコントロールしているので、そのプログラムの解釈がズレるとカメラがきちんと動かなくなるのです」

 言葉の壁だけでなく、ふたつの国の距離は障害にならなかったのだろうか。
「それはありますね。ビジネスタイムの時差もあるし、それにあちらは真夏に仕事がストップしますから」

 そう、北欧はバケーション大国なのである。

「開発がかなり重要な局面でも“明日から夏休みだ”と担当者が丸1カ月音信不通になる(笑)。日本では考えられないことでした。さすがにマネージャークラスは仕事をしていましたが」

「ただインターネットのお陰でロスは減らせたと思います。インターネットが無ければあのスケジュールでの開発は無理だったでしょう」

 さてその共同開発で、フジノンは何を得たのか。光学技術も電子技術も世界最先端の日本が、スウェーデンに学ぶことはあるのだろうか?

「GX645AFにはフジノンの提案や主張が、レンズ以外のいろいろな部分に盛り込まれています。たとえばカメラシステム遮光性など、ハッセルの基本設計をもとにさまざまな試行錯誤を重ねました」

「でもハッセルに、いやスウェーデンの工業に学ぶべきことはたくさんあります。あまり知られていませんが、あちらは金属加工などが凄く進んでいる。例えばチタニウムの板をカメラボディ用にプレスする技術、あれは日本で一社だけが持っているのですが、その会社で使っているプレス機はスウェーデン製なのです」

 そういえばハッセルブラッドVシステムの外装も堅牢なことで知られるスウェーデン鋼だった。

GX645AFもその素材を使っています。ハッセル側では当初はチタン外装を検討したそうですが、ボディの曲面が強くて難しかったようですね。でもステンレスであれだけ複雑な曲面を出せる技術は大したものです。日本では実現が難しいでしょう」

 バイキングの末裔は北欧家具を造っているだけではない。スウェーデンはクルマもジェット戦闘機も国産化しているお国柄なのである。

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国際コラボレーションの結晶、GX645AF。滑らかな曲面が特徴的なボディ外装はいっけん樹脂モールドにも見えるが、ハッセルブラッド伝統のスウェーデン鋼製。手にすれば中判カメラとして群を抜く質感が伝わる。画像の装着レンズはHC35mmF3.5、美しい反射防止膜はもちろんフジノンの独自技術・スーパーEBCコーティングで、あらゆる条件でヌケの良いクリアな画質を実現する。




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GX645AF用標準レンズ、HC80mmで撮影。人物の肌の質感と階調再現、服の生地の繊細な描写、そして背景の滑らかなアウトフォーカス感など、現代のレンズに求められる要素がすべて具現化されている。またGX645AFシステムはレンズ・ボディ・AEファインダー・フィルムマガジン間で電子的に情報伝達がなされ、フィルム画面外には詳細な撮影データも記録できる。
GX645AF+SUPER EBC FUJINON HC80mmF2.8 + FUJICHROME ASTIA100F data: 1/800sec. F3.5




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シリーズ中もっとも広い画角を持つHC35mmで撮影。35mm版換算で約22mmという超広角レンズだ。レトロフォーカス形レンズでは補正が困難とされるディストーションもご覧のようにほぼ皆無で、ここにも現代のレンズ設計技術の凄さが伺える。
GX645AF+SUPER EBC FUJINON HC35mmF3.5 + FUJICHROME ASTIA100F data: 1/160sec. F6.3




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■レンズ交換式中判(645サイズ)AF一眼レフカメラ「FUJIFILM GX645AF プロフェッショナル」についての詳しい情報はこちら。
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後編目次【5】678 2005年2月掲載


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